2022年に児童生徒の自殺者数が514人と過去最多を記録したことを受けて、小倉将信こども政策担当相は4月11日の閣議後会見で、こども家庭庁に自殺対策を担当する新部署を設置したことを明らかにした。同庁支援局内に10人規模の体制で今後、警察庁、文科省、厚労省などの関係省庁と連携して自殺対策への取り組みを始める。小倉担当相はこの日開かれた衆院特別委員会でも田中英之議員(自民)の質問に対して「子供が自ら命を絶つことはあってはならない」と答弁し、新部署の設置を説明した。
自殺対策に関しては、超党派の議員連盟「自殺対策を推進する議員の会」(会長・武見敬三自民党参院議員)が4月5日、こども家庭庁に「子ども自殺対策室」を新設するなどの対策を岸田文雄首相に要望していた。
警察庁などの統計によると、児童生徒の自殺は昨年514人で1980年の統計開始以来、初めて500人を超える事態となった。こうした状況を踏まえて、小倉担当相は会見で「こども家庭庁に子供の自殺対策に関する事務を担当する室を設置し、警察庁、文科省、厚労省などの関係省庁と連携して子供の自殺対策に取り組むこととした」と述べ、4月1日付で体制をスタートさせたことを表明した。支援局内に10人を併任で配置したという。新部署の名称は未定。
この新たな取り組みについて小倉担当相は、「これまでこども家庭庁では、こども家庭センターの設置支援、子供の居場所作りやいじめの防止に向けた地方自治体における体制作りについて、厚労省や文科省と連携して取り組んできた。新部署の具体的な取り組みは検討をスタートさせたところだ」とした上で、「例えば子供の自殺対策については、関係機関の情報を集約し多角的に分析することなどが課題となっており、この解決に向けてこども家庭庁の司令塔機能を発揮させられるのではないかと考えている」と述べた。
さらに子供たちに対しては、「どんな状況に置かれた子供であっても、必ずその子が安心していられる場所というのはどこかにあるはずだ。安心して自分を出せることができる場所というのをわれわれ大人がしっかりといざなってあげて、孤独にさいなまれて自ら命を絶つという子供がいなくなることを心掛けなければいけない。そういった居場所作りなどをわれわれはやっていきたいと思っている。一人で思い悩まずに、ぜひ近くの大人や周りの行政機関などに頼ってほしい」とメッセージを送った。