端末更新の国費負担求める、生成AIの指針も 自民が決議提出

端末更新の国費負担求める、生成AIの指針も 自民が決議提出
永岡文科相(中央右)に緊急決議を手渡す自民党の中村文科部会長(中央左)ら
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 自民党の中村裕之文科部会長らが4月11日、文科省を訪れ、永岡桂子文科相に、GIGAスクール構想で全国の小中学校に整備された1人1台端末の更新費用について、「国が責任を持って措置する」ことを求めた同党文科部会の緊急決議を手渡した。これに合わせて、質問に応じて自然な文章を作成する「ChatGPT」など生成AIへの対応に関するガイドラインの策定も求めた。

 緊急決議では、GIGAスクール構想について、「相当数の学校現場では活用の成果を実感しつつあり、今後のさらなる改善への期待感も醸成されてきている」とした上で、「グローバル人材や地方創生人材の育成、不登校・病気療養児・外国人児童生徒など特別なニーズへの対応などの基盤としても、端末は必要不可欠なものとなりつつある」と強調。GIGAスクール構想のさらなる展開に向けた集中的な取り組みを求めた。

 更新時期を間もなく迎える1人1台端末については、更新費用の国費負担を要求した。端末の導入を巡っては、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中、2019年度と20年度の補正予算で計約4400億円が計上され、小中学校や特別支援学校での整備が一気に進んだ。高校についても、地方創生臨時交付金の活用など、国が費用を負担したことで、GIGAスクール構想は前進した。

 一方、今後控える端末更新に関しては、2月22日の衆院予算委員会で岸田文雄首相が「自治体の財政力等において格差が生じてはならないといった指摘を受け止め、自治体と連携しながら取り組み、対応を進めたい」と述べたものの、国費負担について政府の具体的な方針は示されていない。永岡文科相も記者会見などで「検討中」との答えを繰り返している。

 こうした状況下、今回の緊急決議では「端末の更新が完全に自治体任せとなれば、都市と地方における教育機会の格差やデジタル・デバイド(情報格差)を拡大させることになりかねない」と指摘。自治体の財政状況に左右されることなく、デジタルを活用した学びが受けられるよう、「国が責任を持って端末更新の費用を措置すること」と国費負担を明確にするよう求めた。加えて、「先行して整備を進めたICT先進自治体が取りこぼされることがないようにすること」として、国費投入に当たっては独自判断で端末更新に取り組んでいる自治体が不利にならないように配慮するよう念を押した。

 さらに、ICT教育の一層の充実に向け、文章や画像などの生成AIへの対応に関するガイドラインの策定も求めた。「ChatGPT」をはじめとする生成AIについては、4月6日に開かれた自民党文科部会でも、学習指導要領の改訂などを踏まえ、「対応を念頭に置くべき」との意見が出されており、部会後取材に応じた中村部会長によると、「どちらかというと制御的、抑制的にという意見だった」という。

 こうした生成AIについて、永岡文科相は、学習指導要領が情報活用能力を「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けていることを踏まえ、「生成AIをどのように使いこなすかという視点」「生成AIの回答を批判的に吟味したり、自分の考えを形成するのに生かしたりするといった視点」が重要だとの見解を示している。文科省では、学校現場向けに、国内外の事例や有識者の見解などを踏まえた上で、利活用の判断をするときに参考となる資料を作成するとしている。

 緊急決議では、このほか、全国全ての学校で端末活用が日常的で当たり前のものとなるよう、好事例の創出・普及、教育委員会や学校への支援体制の強化、教育データ連携基盤の構築に加え、各自治体の端末活用状況や取り組みの阻害要因を可視化することなどを求めた。

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