附属学校の教員への残業代が適切に支払われていないとして、兵庫教育大学に対し労働基準監督署が昨年に是正勧告を出していたことが、このほど分かった。国立大学の附属校の教員は、2004年の国立大学の法人化に伴い、給特法の対象から外れ、時間外勤務に対しては労働基準法で定められた残業代が支払われることになっているが、同学では労基署の調査が入るまで客観的な労働時間の管理を実施しておらず、残業代を支払っていなかった。
同学によると、昨年10月に労基署が同学附属幼稚園、小学校、中学校に調査に入り、同11月に是正勧告を受けた。計54人の教員に対し、7~9月分の残業代約1320万円を支払った。これらの学校では、労働時間は手書きによる自己申告制としてきたが、パソコンのログを確認するなどして客観的な労働時間を算出。中には、過労死ラインである月80時間を超える教員も複数いたことが確認されたという。
勧告を受けて同学では、附属学校に対して出退勤カードによる客観的な労働時間の管理に切り替えるなどの対策をすでに行っている。
同学の担当者は「労基署が調査に入る前から、附属学校の労働時間をきちんと把握しなければいけないという問題意識はあり、対応を検討していたところだった」と説明する。
国立大学の附属学校の教員の給与を巡っては、04年の国立大学法人化で、月額給与の4%を教職調整額として上乗せして支給する代わりに残業代を支払わない給特法の対象から除外され、労基法に基づき時間外勤務に対して残業代が支払われることになっている。しかし、昨年2月に文科省が公表した調査では、労基署から是正勧告や指導を受けた国立大学法人が全体の4割超に当たる24法人あったことが分かっており、文科省も国立大学法人に対して早急な改善を求めていた。