こども大綱の具体案 首相、こども家庭審議会での議論開始を指示

こども大綱の具体案 首相、こども家庭審議会での議論開始を指示
こども政策推進会議で発言する岸田首相(左から2人目、首相官邸ホームページから)
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 子供政策の指針となるこども大綱の策定に向け、政府は4月18日、こども基本法に基づく「こども政策推進会議」の初会合を首相官邸で開いた。岸田文雄首相は席上、こども大綱の具体案の作成について、こども家庭庁の有識者会議であるこども家庭審議会に諮問することを確認し、議論をスタートさせるよう指示した。こども大綱の閣議決定は当初、秋ごろとされていたが、小倉将信こども政策担当相は同日、岸田首相から具体的な取りまとめ時期の指示はなかったと説明しており、大綱の策定には当初の想定よりも時間がかかりそうだ。

 首相官邸のホームページによると、岸田首相は会議の席上、「こども大綱は子供施策に関する今後5年程度を見据えた中長期の基本的な方針や重要事項を一元的に定める大綱である。常に子供や若者の視点で、子供や若者の最善の利益を第一に考える『こどもまんなか社会』を実現していく」と述べた。その上で、こども家庭審議会での検討結果をこども政策推進会議に報告するよう、小倉担当相に指示した。

 今年4月に施行されたこども基本法では、子供施策に関する基本的な方針や重要事項をこども大綱で定めることとされている。こども大綱はこれまで別々となっていた少子化社会対策大綱、子供・若者育成支援推進大綱、子供の貧困対策に関する大綱を一体化。首相を長とする閣僚会議であるこども政策推進会議が大綱案を作成し、閣議で決定される。

 こども家庭庁のこども家庭審議会は、内閣総理大臣またはこども家庭庁長官の諮問に応じて、子供・子育てに関する重要事項を調査審議することとされている。小倉担当相はこの日の閣議後会見で、「子供や若者、子育て当事者からの意見を丁寧に聞きながら、またこども未来戦略会議における子供子育て政策の抜本強化に向けた議論も踏まえながら、子供政策について専門的な知見に基づいて調査、審議を進めていただきたいと考えている」とした。現在、こども家庭審議会のメンバーについては人選中で、決まり次第速やかに会合を開催するという。

 こども大綱案の検討にあたっては、3月に有識者会議によってたたき台となる報告書が示され、論点が整理されている。こども家庭審議会ではその報告書をもとにこども大綱について具体的に検討することになる。

 小倉担当相によると、この日の会議では、加藤勝信厚労相から医療、福祉、労働政策を所管する観点から引き続き緊密な連携を図る考えが示された。西村康稔経産相からは若い世代の持続的な所得向上と働き方改革も含めた職場、社会全体で子育てを応援する雰囲気作りに一体的に取り組むべきだとの発言があった。永岡桂子文科相は、教育施策が子供施策の総合的な推進において重要な役割を果たすことから、こども大綱の策定に向けて寄与していきたいとの意見表明を行った。

 こども大綱の閣議決定は当初、秋ごろとされていたが、小倉担当相は岸田首相から具体的な取りまとめ時期の指示はなかったと説明した上で、「答申をもらう時期についても、今後のこども家庭審議会における調査審議次第であるので、今の時点で申し上げることは差し控えたい。答申をもらったら、なるべく速やかにこども大綱の案をこども政策推進会議に報告した上で閣議決定をさせていただきたいと考えている」と話すにとどめた。

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