学校の部活動をはじめとしたスポーツ活動全般から暴力やハラスメントなどの不適切行為をなくすため、日本スポーツ協会(JSPO)などスポーツ統括団体計6団体は4月25日、「NO!スポハラ」活動を開始した。6団体は、この日設置された特設ウェブサイトやSNSを通じた情報発信のほか、イベントなどで誰もが安全で安心してスポーツを楽しむ環境作りに向けた取り組みを加速していくとしている。
「NO!スポハラ」活動に参加しているのは、JSPOのほか、日本中学校体育連盟(中体連)、全国高等学校体育連盟(高体連)、大学スポーツ協会(UNIVAS)、日本オリンピック委員会(JOC)、日本パラスポーツ協会(JPSA)。
10年前の2013年4月25日、JSPOなどは「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」を行い、スポーツ界からの暴力の根絶を訴えた。しかし、その後も、中学校や高校の部活動の現場などでは暴力や暴言、ハラスメントなどの不適切行為が収まらず、暴力による刑事事件に発展するケースも各地で相次いでいる。昨年度、JSPOの「スポーツにおける暴力行為等相談窓口」に寄せられた相談件数も373件と過去最高で、前年度の2倍強となった。
このような状況を重く受け止めた6団体は改めてスポーツにおける暴力や暴言、ハラスメントなどの不適切行為の根絶に向けて、23年度を「啓発強化元年」として、指導者や児童生徒だけでなく保護者も含めて、広く「NO!スポハラ」を訴え掛けていくことを決めた。
JSPOなどが定義するスポーツハラスメントは、スポーツの現場で「暴力」「暴言」「ハラスメント」「差別」といった「安全・安心にスポーツを楽しむことを害する行為」のこと。指導者と指導を受ける者との関係のみならず、スポーツの現場における関係者の誰によっても、また誰に対してであっても起こり得るとしている。そのため、「NO!スポハラ」活動ではスポハラが起きないことと同時に、「誰もが安全・安心にスポーツを楽しめる社会を作る」ことを目指している。
JSPOの森岡裕策専務理事によると、今後、保護者が子供をスポハラから守るために必要な専門家による情報やアスリート・指導者らによるメッセージの発信のほか、スポハラを自分事として考えてもらうための保護者・児童生徒向けの研修会・ワークショップの開催、SNS投稿キャンペーンの実施など、さまざまな活動を予定しているという。
森岡専務理事は「きょうをスタートにして、この活動でスポーツ界が本気になってスポハラをなくしていくという1年間にしたい。もちろん1年間では終わりというわけでなく、とにかくわれわれのリソースを集中してやっていきたい」と決意を述べた。