教員確保に期待、奈良県の養成プログラム 1期生が修了式

教員確保に期待、奈良県の養成プログラム 1期生が修了式
栢木所長(右)から修了証書を受け取る受講生(写真提供:奈良県立教育研究所)
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 小学校教員の希望者に対して、高校2年生から6年間継続して育成する奈良県独自の教員養成プラグラム「県次世代教員養成塾」の第1期生修了式が4月30日、同県田原本町の県立教育研究所で開かれた。プログラムを修了した37人は今年度行われる同県の小学校教員採用試験において、一次試験が免除される。

 奈良県の県次世代教員養成塾は同県の教育を担う資質・能力を育成することを目的に、高校2年から大学進学後4年間の計6年間継続して行われるプログラム。県と県内にある6つの教員養成系大学が連携し、2018年10月に全国初の試みとしてスタートした。

 高校2~3年生を対象にした前期プログラムは、「学ぶことの楽しさ」を「教えることの楽しさ」につなげることなどを目指し、大学生との交流や子供遊びなど計10回の内容で実施。受講生に教員として働く姿を想像するために、「交流」「体験」「振り返り」の時間を必ず設けた。

 大学4年間の後期プログラムは県立教育研究所が主体となって運営。社会体験活動やインターンシップ、同研究所での講義・演習などを通して、実践的な指導力を磨いてきた。

 修了式では、栢木正樹所長が「奈良県の教員の一人として頑張っていこうという、若さに満ち溢れた目だった。令和の学校教育として大きく変わろうとしている中で、教員として成長し続けること、学び続けることはとても大切。子供たちをしっかり成長させるために、社会の流れの変化や状況に応じながら、現場に立って活躍してほしい」と激励。受講生に修了証書を手渡した。

 修了生を代表して、奈良教育大学4年の西田有佳里さんが「変化する社会の中でも、障害のある子供たち、そうでない子供たちがそれぞれに輝ける力を育みたい。高校生の時に抱いた教員という夢の実現に向かって突き進み、教壇に立ってからもしっかりと学び続ける」と決意を述べた。

 同県の2022年度教員採用試験の最終倍率は全校種で4.6倍と、前年度の5.2倍に比べ0.6ポイント下回った。校種別にみると、小学校は3.9倍で前年度に比べて1.1ポイント減少。中学校の4.5倍、高校の5.9倍と比べても低い数字となっている。同研究所の担当者は「一人でも多くの修了生が採用試験へと進んで、奈良県の小学校の教員になってくれたら」と期待をかける。

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