教員が担う必要ない業務、国や教委が強制的にでも整理を 財務省

教員が担う必要ない業務、国や教委が強制的にでも整理を 財務省
iStock.com/Wpadington
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 教員の働き方改革を巡り、4月28日に開かれた財政制度等審議会財政制度分科会で、財務省は「教員が担う必要のない業務については、文科省・教委が強制的にでも教員の業務としない整理をするなど、踏み込んだ業務の適正化を行うべき」と指摘し、国や教委主導でスクールソーシャルワーカーや部活動指導員などの外部人材の活用などを加速させるよう促した。一方、教員の時間外勤務手当を付けることについては、「服務監督者である市町村が教員の給与を負担していないため、勤務時間が長時間化する恐れ(がある)」などと改めて消極的な姿勢を示したものの、教務主任や学年主任など主任業務にあたる一部の教員が長時間勤務であることを問題視。「頑張っている者が報われるような、メリハリの効いた給与体系に見直すことで、若者が教職に魅力を感じるよう変革していく必要」があると指摘し、既存の給与体系を見直す余地があるとした。

 財務省は、先月28日に公表された「2022年度教員勤務実態調査」を踏まえ、小中学校教員の勤務時間について「授業以外の時間が多くを占めており、事務・会議や外部対応などの業務は、相対的に教員自身の負担感が高く、やりがいや重要度が低い」と指摘し、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、部活動指導員など外部人材を活用することなどに触れた。

 例として、地方財政措置でスクールロイヤーを活用した事例や、奈良県教委や沖縄県教委が保護者宛てに、勤務時間外の教職員対応は原則行わない協力依頼を出した事例を紹介した。さらに「教員に過度な負担を負わせない取り組みを導入・展開することにより、教員を保護する環境を作っていくべき」とし、文科省や教委、学校が一体となり、仕組みづくりを強化するよう求めた。

 教員の業務については、中教審が19年の答申で「基本的には学校以外が担うべき業務」「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」に分類し、役割分担や内容を見直すよう示されたものの、財務省はさらなる取り組みの一つとして、「教員が担う必要のない業務については、文科省・教委が強制的にでも教員の業務としない整理をするなど、踏み込んだ業務の適正化を行うべき」と強調。

 教員の時間外勤務手当を巡っては、「その勤務の特殊性から、勤務時間の内外を切り分けることが適当でなく、教員にはなじまないとされる」と指摘。また、①時間外勤務手当を支給しない代わりに教職調整額が支給されている②給与負担者(都道府県、国)と服務監督者(市町村など)が同一でない――を挙げ、「民間企業のように働き方改革を進めるインセンティブが湧きにくい構造となっている」との見方を示した。その上で時間外勤務手当を導入するとすれば、服務監督者が給与を負担していないため「勤務時間が長時間化する恐れ」があると危惧した。

 一方で、前回の教員勤務実態調査の結果を踏まえ、教務主任や学年主任など主任業務にあたる一部の教員が長時間勤務の傾向にあることを指摘。「頑張っている者が報われるような、メリハリの効いた給与体系に見直すことで、若者が教職に魅力を感じるよう変革していく必要」があると、一定の見直しが必要であると見解を示した。加えて、一律に支給している教職調整額や義務教育等教員特別手当については、「その在り方を見直すことも併せて考えていく必要」があるとした。

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