スポーツにおける児童生徒への暴力やハラスメントが相次ぐ中、公益財団法人日本ユニセフ協会は、こどもの日を前にした5月2日、全ての子供が安全で安心してスポーツができる環境作りに必要なことを、子供たち自身にも知ってもらうための子供向けサイト「ユニセフ こどスポ」を公開した。
日本スポーツ協会などがスポーツ界からの暴力行為の根絶を宣言して10年が経過。日本ユニセフ協会とユニセフ(国連児童基金)は2018年に、子供のスポーツに関わる全ての関係者のための行動指針として「子どもの権利とスポーツの原則」を発表、子供の健全な成長を支えるスポーツ環境作りに向けた取り組みを行ってきた。
今回公開した子供向けサイトでは、「子どもの権利とスポーツの原則」(10の原則)を子供向けに分かりやすく説明。その前文では「スポーツをする中で子供が体罰を受けたり、きびしい言葉で傷付いたり、体に負担が掛かりすぎて将来スポーツを続けられなくなったり、そもそもスポーツをする機会を与えられないなどの問題も起きています」とした上で、「子供は、暴力などから守られ、安心して楽しめる環境で、年齢や能力にふさわしいかたちで、スポーツをする権利がある」としている。
続いてスポーツをする子供たちに対しては「スポーツ以外の活動とのバランスが大切にされなければならない」「暴力などのリスクから守られなければならない」「健康が守られなければならない」と指摘。またチームとしては「子供の権利を守る仕組みを作る」「みんなが子供の権利を学び、話し合えるようにする」必要も訴えた。保護者に対しても「子供が権利を守られ、スポーツを通して心も体も健やかに成長できるよう助ける」と呼び掛けている。
このほかサイトでは、これらの原則がどれぐらい守られているかをチェックするシート、子供の権利を重視する国内や国外でのさまざまな取り組み事例なども紹介されている。
日本ユニセフ協会学校事業部の金子雅彦部長は「新サイトは、スポーツをするなかで『子供の権利を大切にする』とはどういうことか子供たちはもちろん、子供のスポーツに関わる大人の皆さんにも分かりやすく解説している。部活動の地域移行が進む中、指導者研修に苦慮されている自治体でも活用いただけるのでは」とコメントしている。