石川県能登地方の大地震から3日 学校再開もいまだに残る爪痕

石川県能登地方の大地震から3日 学校再開もいまだに残る爪痕
倒れた下足箱が散乱している生徒玄関(写真提供:飯田高校)
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 石川県能登地方を襲った大地震から3日。最大震度6強を記録した珠洲市の学校でも、5月8日から授業が始まった。地震により、石川県内の公立学校22校にひび割れなどの被害があったものの、人的被害は報告されなかった。連休中は教職員が休み返上で復旧作業を行い、学校再開にこぎ着けた一方、6日からの大雨の影響もあり、その爪痕はいまだに残っている。

 気象庁によると、5日午後2時42分ごろ、石川県能登地方を震源として発生した地震では、同県珠洲市で震度6強を観測したほか、同県能登町で震度5強、同県輪島市で震度5弱を記録した。

 文科省によると、この地震により物的被害を受けた同県の学校施設は8日正午時点で、校種別に▽小学校 12校▽中学校 5校 ▽義務教育学校 1校 ▽高校 3校 ▽特別支援学校 1校――となっている。主な被害としては、壁のひび割れや漏水、アスファルト舗装の亀裂など。人的被害は報告されていない。

 連休明けとなった8日は通常通り、授業が行われた。珠洲市唯一の高校である県立飯田高校(角秀明校長、生徒299人)では連休中、教職員約20人が休みを返上して学校を訪れ、倒れた生徒玄関の下足箱を直すといった復旧作業を懸命に行い、この日の再開にこぎ着けた。

グラウンドの複数箇所に亀裂が入った(写真提供:飯田高校)
グラウンドの複数箇所に亀裂が入った(写真提供:飯田高校)

 しかし、グラウンドの5カ所ほどに幅1~2㌢の亀裂が約10㍍にわたって入っているほか、屋根のコンクリートが剥がれ、体育館が半分使えないなど、地震の爪痕は色濃く残っている。同日、県の担当者が訪れ、被害状況の確認などを行ったが、角校長によると、復旧のめどは立っていないという。角校長は「8日も体に感じる余震が2回ほどあった。生徒の安全確保を第一に授業を行いたい」と話した。生徒の家屋への被害は報告されていないという。

 また、石川県では6日から雨が断続的に降り続いており、夜には大雨警報が発表された。珠洲市内では8日午前11時現在で11カ所に避難所を開設。近くの公民館が地震の影響で使用できなかったため、体育館が避難所となった市立正院小学校(山野仁志校長、児童28人)では、同日の体育の授業を保健に切り替えた。

 同校では再開にあたり、午前中に臨時の全校集会を開催。山野校長が「みんなが元気に学校に来てくれてうれしい。全員で元気に協力して、地震に負けない小学校にしよう」と励ました。

 珠洲市教育委員会は管轄する学校に水道や施設の確認、通学路の安全点検を行うよう依頼したほか、児童生徒の心のケアにあたるスクールカウンセラーを派遣できる体制を整えた。

 また、文科省は5日から災害情報連絡室を開設。被害状況の把握を行っているほか、被災した公立学校施設の早期復旧を図るため、事前着工の着手などについての事務連絡を6日、石川県、富山県、新潟県、福井県の各教育委員会に発出した。

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