自民党の「令和の教育人材確保に関する特命委員会」が、教員の働き方や給特法における教職調整額を10%以上にするなど処遇改善についての政策提言をまとめたことに関して、永岡桂子文科相は5月12日、閣議後の会見で、「教師に優れた人材を確保して教育の質の向上を図る観点から、文科省としても非常に重要なものであると受け止めている」と評価し、教員の働き方や処遇に関わる課題を一体的に推進することが重要であるとの認識を示した。
自民党の特命委員会が10日に取りまとめた政策提言「令和の教育人材確保実現プラン」では、教員の長時間勤務について「将来的には月20時間程度を目指す」として大胆な削減を打ち出したほか、給特法の教職調整額を現行の4%から「少なくとも10%以上に増額」することを打ち出している。こうした改革を実現するため国費として約5000億円規模の拡充を見込んだ。自民党では、提言を今年6月に政府が閣議決定する「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)に反映させ、2024年度から3年間を抜本的な改革期間として政府に求めていく方針を示している。
永岡文科相は会見で、「(自民党の)提言においては、学校における働き方改革のさらなる加速、教師の処遇改善、そして学校の指導運営体制の充実、優れた人材が教師を目指すための支援を一体的にパッケージとして推進するべきということが示されており、教師に優れた人材を確保して教育の質の向上を図る観点から、文科省としても非常に重要なものであると受け止めている」と評価した。
一方で、時間外勤務について手当化することなく、給特法を改正して現行4%の教職調整額を10%以上にするという提言については、「承知はしているが、給特法の在り方も含めて、具体的には今後検討していくべき課題と認識している」とするにとどめた。また教職調整額を10%にした場合の国庫負担については、「教職調整額を含む教職員の給与費については、義務教育費国庫負担制度によって国が3分の1を負担しており、現状の教職調整額に係る予算額は約460億円であるため、これを踏まえると追加的な所要額は690億円と見込まれる」と述べた。
教職調整額を10%にした場合も含め、自民党では働き方、処遇改革に約5000億円かかると見込んでいるが、「優れた人材を得るために必要な予算を確保していくのは、大変重要だと考えている。文科省としては、今回の提言や先日公表した勤務実態調査の結果なども踏まえつつ、調査研究会において整理された論点を基に給特法等の法制的な枠組みを含めて、中教審における検討に速やかに着手したい」と答えた。