東京都杉並区は5月16日、区立小中学校など63校の校庭を、金属探知機を使って点検し、くぎなど危険物の除去作業を進めると発表した。同区では4月、区立荻窪小学校の校庭で転倒した児童が、ラインマーカーとして打ち込んだと思われるくぎで、膝付近を十数針縫うけがを負う事故が発生。区立の小中学校や認定こども園などを教員が緊急点検したところ、計1350本のくぎなどが発見されていた。事故を受け文科省は今月12日、校庭を含めた安全点検を確実に実施するよう、全国の教委などに通知で求めた。
杉並区教委によると、4月13日、区立荻窪小学校の校庭で、体育の授業中だった児童が転倒。ラインマーカーとして打ち込んだと思われるくぎで膝付近を裂傷し、十数針を縫うけがを負った。くぎは長さ約12.5㌢で、頭部数㍉が地面から出ている状態だった。打ち込み式のラインマーカーは、体育の授業や運動会などで地面に印を付けるために使われるもの。事故後、業者が金属探知機で点検したところ、校庭から544本のくぎやかぎ型フックなどが見つかり除去した。多くが劣化しており、長期間に渡り放置されたものと見られている。
区教委では事故後、区内の小中学校、特別支援学校、認定こども園などに、校庭・園庭の緊急安全点検を実施するよう求め、今月12日に結果を公表。各校で教員が目視などで点検したところ、68校・園のうち42校・園で計1350本のくぎなどが見つかった。事故のあった荻窪小学校を除き特に多かったのは、▽区立井草中学校 82本▽区立松庵小学校 69本▽区立三谷小学校 60本――など。
この結果を受け、区は荻窪小学校以外の小中学校など63校の校庭も、業者に委託し金属探知機で調査することに決めた。他に、くぎを使った打ち込み式のラインマーカーの使用を禁止し、プラスチック製の置くタイプのラインマーカーへの切り替えを促すなどの再発防止策を講じる。
荻窪小学校の事故を受けて、文科省が今月12日に出した通知では、校庭などにガラスやくぎなどの危険物はないか、ブロック塀やフェンスに破損がないかなどを点検するよう、改めて求めた。同省の担当者は「運動会シーズンに入り、校庭の活動も増える。今回、事故の原因となったくぎは、運動会で使ったものを留置した可能性も指摘されている。運動会前はもちろん、その後の確認・除去まで確実にしてほしい。これまでも周知してきたように、校庭を含めた日頃の安全点検を徹底してほしい」と話している。