端末更新の財政支援、早期方針決定を要望 市長会関東支部

端末更新の財政支援、早期方針決定を要望 市長会関東支部
永岡文科相(右)に緊急決議を手渡した千葉県流山市の井崎市長
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 GIGAスクール構想で全国の小中学校に整備された1人1台端末の更新費用を巡り、全国市長会関東支部は財政支援に関する緊急決議を取りまとめ、5月23日、永岡桂子文科相に手渡した。緊急決議では、端末やソフトウエアの更新費用や端末の修理費用について、自治体がほかの用途に使えない補助金制度によって国が財政支援を行うとともに、そうした財政支援の具体的な方針を早期に示すことを求めている。

 全国市長会関東支部長を務める千葉県流山市の井崎義治市長が同日、文科省を訪れ、永岡文科相に緊急決議を手渡した。

 5月17日にまとめられた緊急決議では、2019年12月にGIGAスクール構想が発表されてから、3年余りが経過したことにより、「今後、パソコンなどのICT機器端末の耐用年数や経年劣化による故障等による費用が多額になることが予想され、地方自治体の財政に多大な影響を及ぼすことになる」と指摘。

 さらに、子育て世代の流入により、児童生徒が増加している自治体では、すでに整備した機器だけでは数が不足することや、ソフトウエアの更新、機器の保守管理などで継続的な財政負担が生じると指摘している。

 このため、緊急決議では、ソフトウエアや端末の更新費用、修理費用などに関わる国の財政支援を拡充することを要望。その際は、自治体の裁量で使途を選べる地方財政措置ではなく、GIGAスクール構想に関連した費用として支出するように限定する補助金制度による支援を行うことを求め、さらに「財政支援の具体的な方針を早期に示すこと」と念を押した。

 このほか、ICT機器の管理・保守、サポートやインターネット回線の利用に必要な経費など、ICT機器を活用した教育環境の維持に伴う費用や、新たなICT機器やICT環境の導入に関わる費用について、地域の実情に応じた財政支援を求めた。

 1人1台端末の更新に関しては、早い自治体では24年度から更新時期に入る。岸田文雄首相は2月22日の衆院予算委員会で「自治体と連携しながら取り組み、対応を進めたい」と述べたものの、国費負担について政府の具体的な方針は示されていない。

 GIGAスクール構想では、全国全ての小中学生に1人1台端末を配備するため、19年度と20年度の補正予算で合わせて約3000億円を計上している。更新費用も同程度の予算規模になるかという問いに、文科省は「自治体が導入する端末の単価に加え、子供の数が減少していることも影響するため、現時点で一概には言えない」(初等中等教育局修学支援・教材課)としている。

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