結成から75年の節目を迎えた全国連合小学校長会(全連小)の第75回総会が5月26日、東京都港区のニッショーホールで開催され、全国から約300人の校長が集った。新会長には、東京都中央区立久松小学校の植村洋司校長が就任。植村新会長は「全国共通の喫緊の課題は教員不足だ。正規教員が配置できないのは、義務教育の根幹を揺るがす大きな問題だ」と危機感をあらわにし、「校長には国の動向を注視し、アンテナ高く学校経営をしていくことが求められる。同時に自校では、人材育成により一層力を入れていく必要がある」と力強く宣言した。
就任のあいさつで植村新会長は「人材育成」の大切さを強調し、今年3月のワールド・ベースボール・クラシックで日本代表を優勝に導いた栗山英樹監督の著書『栗山ノート』を引用。「この選手は3年後どうなっているだろう。あの選手は5年後にどこまで成長しているだろうといった視点を持っていないと、判断を誤ると思っています。選手が他チームに移籍するときに、あるいは現役を退くときに、ファイターズに入ってよかったなと思える姿をイメージしています」などと紹介し、「学校経営における人材育成にもつながる話。われわれ校長は教員を元気にしなければならない。そのために処遇改善はもちろん、(教職員が)仕事に喜びを見いだし、成長を感じられるようにしたい。校長のリーダーシップと豊かな心持ちで、教職員を大事に、人材育成をしていくことが大切だと改めて思う」と説いた。
また2021年から2年間、会長を務めた大字弘一郎前会長は退任にあたり、「学校は本当に強い組織だ。教職員と心を一つに教育活動にまい進すれば、どんな困難も必ずや乗り越えられる。校長としていつも笑顔で、明るく、穏やかに、ゆったりと構えて、教職員を安心させましょう。そして、校長が誰よりも教職員を大切にしましょう。全国の先生方、これからも元気な学校をつくりましょう」と、全国の教職員たちにエールを送った。
今年度の宣言には▽確固たる経営方針に基づく、創意ある学校経営の充実▽豊かな心や健やかな身体の育成、いじめ・不登校などの解消を図る生徒指導体制の充実▽学校における働き方改革の推進▽管理職・教職員の人的条件整備や処遇の改善、教員を志す優秀な人材の確保――などを掲げた。