知事や市町村長など自治体の首長と教育委員会が学校教育の課題などについて協議する総合教育会議について、4都道府県・政令市、232の市区町村で、2021年度中に一度も開催されなかったことが、5月30日に公表された文科省の「教育委員会の現状に関する調査(2021年度間)」で明らかになった。さらに、いじめ重大事態をはじめとする「児童、生徒等の生命又は身体に現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合等の緊急の場合に講ずべき措置」について扱ったのは、2都道府県・政令市、34市区町村にとどまった。
いじめ重大事態など児童生徒の生命や身体に被害が及ぶ緊急性の高い事案が発生した場合は、総合教育会議で協議することが地方教育行政法で定められている。同省の担当者は「定例会議だけの開催だけではなく、案件ごとに柔軟に開催できる体制を構築してほしい。会議が十分に活用されているとは言い難いので、さらなる活用を求めたい」と述べた。これらの結果を受けて、同省は同日、全国の教委などに向けて通知を発出し、総合教育会議を適切に開催することなどを求めた。
調査結果によると、総合教育会議の平均開催回数は都道府県・政令市で1.5回(20年度1.8回)、市区町村で1.3回(同1.4回)と、いずれも前年度と比べ微減した。
開催回数ごとに見ると、「1回」が最も多く、都道府県・政令市で49.3%、市区町村で54.8%を占めた。「2回」だったのは都道府県・政令市で34.3%、市区町村で24.9%、「3回」だったのは都道府県・政令市で6%、市区町村で4.8%、「4回」だったのは都道府県・政令市で4.5%、市区町村で2%と、開催回数が多くなるにつれて自治体数が少なくなる傾向にあった。また、都道府県・政令市の6%、市区町村の13.5%で1度も開催されていなかった。
合わせて、作成や公表が努力義務とされている総合教育会議の議事録について、38市区町村で作成されていないことも分かった。詳細な議事録を作成していなかったのは、3都道府県・政令市、454市区町村だった。また218市区町村が、議事録や議事概要を公表していなかった。
一方、コロナ禍で一気に広がったオンラインを活用した教育委員会会議を巡っては、都道府県・政令市では前年度比26.9ポイント増の47.8%で開催されていた。市区町村では前年度比2.6ポイント増の6.0%だった。同省の担当者は、「都道府県・政令市を中心にオンラインでの開催が定着しているのではないか。委員が遠方に住んでいて、なかなか開催できないといった課題解決にもつながっているようだ。コロナが落ち着いた後も、オンラインを上手に活用しながら運営してほしい」と評価した。