部活動の準備、児童生徒任せにしないで 室伏スポーツ庁長官

部活動の準備、児童生徒任せにしないで 室伏スポーツ庁長官
部活動の安全管理の徹底を求めた室伏スポーツ庁長官
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 今年5月上旬に札幌市の高校で女子硬式野球部の生徒が移動式バッティングケージの下敷きになり、意識不明の重体になった事故を受け、スポーツ庁の室伏広治長官は6月2日の定例会見で、「(バッティングケージの運搬は)子どもだけに任せるのではなく、指導者と一緒に移動させるなどの方法を取ってほしい。指導者は(スポーツの)指導だけではなく、準備のところから管理、指導してほしい」と、部活動の安全管理の徹底を呼び掛けた。同庁によると昨年9月にも同様の事故が発生しており、同庁は5月30日付で、全国の教育委員会などに対し、バッティングケージの正しい使用や、顧問などの立ち会いのもと移動することを求める通知を出したという。

 通知では、「顧問等の運動部活動の責任者は、実際に使用する製品の取扱説明書等の内容を確認し、生徒に対して事前に使用方法や注意事項等を十分説明すること」と、「バッティングケージを移動等する際は、必ず顧問等の下で行うこと」を求めた。

 バッティングケージの具体的な使用方法については、▽野球やソフトボールなどの決められた用途以外で使用しない▽移動の際は転倒防止のため、上から見て三角形または四角形の形を必ず保持させ、左右のバランスを取りながらゆっくりと行う▽風が強いときには本体を横に倒すか、しっかりと支えになるものに固定するなど、転倒や自走防止の対策を取ること――などとまとめた。

 室伏長官は「感染症を巡る状況が変わり、久しぶりに体を動かす児童生徒も多いと思う。学校設置者には、体育活動の安全管理の徹底により一層努めていただきたい」と強調。事故は調査中のため全貌を把握していないとしつつも、「子どもだけで(バッティングケージなどを)運んでいる可能性もある。子どもだけに任せるのではなく、指導者と一緒に移動させるなどの方法を取ってほしい。指導者は(スポーツの)指導だけではなく、準備のところから管理、指導してほしい」と警鐘を鳴らした。

 さらに同日の会見では、学校現場の熱中症事故についても言及があった。室伏長官は「体が暑さに慣れていないと熱中症の危険性が高まる」と述べ、「体育の授業でいきなり運動するのではなく、少しずつ外で身体を慣らしたり、汗をかいたりなど事前に準備してほしい。指導する先生方には、『まだ大丈夫』だと思わないようお願いしたい。できるだけ休憩時間を入れたり、水を率先して飲ませたり、濡れたタオルで首元を冷やすなどを取り入れてほしい」と、具体的な策を交えて説明した。

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