高校生の留学、危機管理ガイドラインを初めて策定 文科省

高校生の留学、危機管理ガイドラインを初めて策定 文科省
iStock.com/Kikujiarm
【協賛企画】
広 告

 グローバル人材の育成に向け、高校生の留学への機運が醸成される中、外国で事件や事故に巻き込まれることを防ごうと、文科省は危機管理のガイドラインを初めて策定し6月7日、公表した。学校・教育委員会向けと生徒・保護者向けに分けて作成。留学前の必要な準備や体制の整備、事故発生後に求められる対応などについてまとめてある。

 文科省によると、高校生の留学生数は2017年度で4万6869人。4月に示された教育未来創造会議の第二次提言では2033年までに高校段階の留学者数を12万人とすることを目標にしている。同省でも官民協働で海外留学を支援するキャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」の奨学金制度について、今年度から高校生を拡充するなど、グローバルリーダーを育成するための留学促進を強化している。

 こうした中、同省は各学校における留学前の安全への意識啓発や危機管理体制の整備に加え、渡航する生徒に十分な安全意識を持ってもらおうとガイドラインを策定。取りまとめにあたっては、去年12月から有識者による検討会を3回開いた。

 学校・教育委員会向けは留学前、留学中、事故発生後の3つの段階に分けて危機管理に必要な対応をまとめた。海外留学を実施する際は学校と留学団体、警察、教育委員会などの円滑な連携体制が重要とし、事故発生時に備え、夜間や休日といった勤務時間外でも生徒の安否確認を行える非常参集体制を整えることが必要とした。

 事故が発生した際は、学校に問い合わせが殺到することが想定されるため、連絡・通信手段の複線化を図ることを推奨。現地で教職員が被害に遭っている可能性もあるため、安否確認の体制も複数用意することや保護者との連絡先を明確化することも記した。その上で、これらの対応を学校の危機管理マニュアルに明記することを求めた。

 生徒・保護者向けは危機管理の基本的な考え方や留学前に準備しておくべき事項、健康管理などについて整理。「危険な場所には近づかない」「単独行動しない」「見知らぬ人を容易に信用しない」といった11の心構えを記した。

 さらに、「自分の身は自分で守る」のが基本原則とした上で、外務省が作成しているマニュアルなどを使った情報収集や、事故に巻き込まれた時のために、あらかじめ渡航先の大使館や総領事館の連絡先を確認することを勧めた。

 また、参考資料として、学校と生徒が確認しておくべきチェックリストのほか、強盗や置き引き、海外で合法化されている薬物といったトラブルの事例やその対策も記載している。

広 告
広 告