都の教員採用、応募倍率3倍下回る 直近20年で初めて

都の教員採用、応募倍率3倍下回る 直近20年で初めて
教員採用試験の応募状況が報告された都教委の定例会
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 東京都教育委員会の今年度第9回定例会が6月8日、都庁で開かれ、7月から始まる2024年度採用の教員採用試験について、応募状況が報告された。応募者数は前年度より27人多い9465人で、12年ぶりに増加に転じた一方、採用見込者数も増加した影響で、全体の応募倍率は2.7倍と前年度より0.6ポイント減少。直近20年では最も低く、初めて3倍を下回った。

 来年度の東京都教員採用試験における採用見込み者数は3480人。小学校での35人学級への対応や中高の生徒数増加などで前年度より610人多く、直近20年で最多となった。応募者数のうち、新卒は4210人(前年度比110.4%)。既卒は5255人(同93.5%)だった。

 校種別にみると、小学校では英語コースを含む1440人(同240人増)の採用見込みに対し、応募者数は2603人(同350人減)で、応募倍率は1.8倍(同0.7ポイント減)だった。都教育庁人事部は「35人学級の進行による近年の大量採用で、既卒者層が順次合格しているのが、大きな要因の一つ」と説明する一方、「非常に厳しい状況」と強調した。

 中高共通および小中高共通の採用見込み者数は計1270人(同150人増)。応募者数は4821人(同234人増)で、応募倍率は3.8倍(同0.3ポイント減)だった。特別支援学校は360人の採用見込み者数に対し、応募者数は前年度と同じ593人。応募倍率は1.6倍(同2.7倍)だった。

 東京都では今回から新たに2つの採用方法を新設。一次選考の教職教養と専門教養を大学3年次で受験できる「大学3年生前倒し選考」の応募者数は2858人。24年度採用ではないため、この数字は全体の応募者数には含まれていない。都で教員経験がある人の一次選考を免除する「カムバック採用」は117人が応募した。

 また、教員免許がなくても受験できる社会人特例選考は、今回から年齢要件を40歳以上から25歳以上に引き下げたこともあり、216人が応募。前年度の28人に比べ、大幅に増加した。

 都教育庁人事部は「全体を通じて、昨年度から行ってきたPR内容・方法の充実、志望者のニーズに応じた採用選考の見直しなどにより、教員を目指す動きが一定程度、活性化しつつある兆しが見える」と述べる一方、「まだまだ厳しい現状が続いている。働き方改革と教員の魅力向上に向けた取り組みの一層の推進が必要」と分析する。

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