文科省による官民協働の海外留学支援キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」(トビタテ)の奨学金制度を活用して、今年度留学する高校生を対象にした壮行式が6月10日、11日に同省で開かれた。4年ぶりに対面で行われ、2日間で計500人の高校生が参加。海外で学ぶ意欲を持つ仲間との食事やディスカッションなどを通し、留学への決意を新たにしていた。
壮行式では、先輩留学生を代表して昨年度、エストニアに語学留学した藤本風さんが「自分と異なる哲学に触れられたのは留学でしかできない学びだと感じる」と海外で学ぶ意義を述べた上で、「私たちが留学できるのは、自分の努力だけでなく、周囲の理解、協力、応援があったから。だからこそ自分の経験を社会、そして未来につないでほしい」とエールを送った。
その後、今年度の留学生を代表して3人があいさつ。海の環境問題を解決するため、カナダのバンクーバーで学ぶ鹿児島県立大島高校2年の福田笑心(にこ)さんは「海の環境保護を行っている団体に参加して、意見交換や活動を支援している水族館のインタビューをしたい。帰国後は奄美大島の海の現状やバンクーバーでの体験を伝える場を設ける。将来、起業するという目標をかなえるべく、この夏飛び立つ」と力強く決意を述べた。
壮行式後は交流会が行われ、留学生同士だけでなく、先輩留学生や支援企業の関係者とも、積極的にコミュニケーションを取り、情報共有していた。フィンランドでジェンダー教育を学ぶ山梨英和高校3年の藤森あやねさんは「同じ県内で海外留学への思いを持っている子がいることを知れた。部活動とか勉強とかの頑張りを聞いて、私も頑張ろうと思った」と刺激を受けた様子。宝石商になる夢をかなえるために英国へと渡る熊本県立熊本高校3年の佐藤楽さんは「みんな茶道やダンスなど独特なものを学ぼうとしていて勇気づけられる。どうしてその留学をしようと考えたか知りたい」と交流に意欲的だった。
壮行式は6月17日に大阪市の公文教育会館でも開かれ、約200人の高校生が参加する予定。
「トビタテ!留学JAPAN」の奨学金制度は若手のグローバルリーダーを育てるという目的の下、今年度から高校生を大幅に拡充。今回は3つのコースで計2238人の応募があり、708人が採用された。また、課題であった自治体間の格差を減らすため、20人以上応募のあった都道府県を対象に上位5人を優先的に採用する地域応援枠を新設した。
留学する地域は▽アジア 101人▽大洋州 122人 ▽北米 240人▽中南米 10人▽ヨーロッパ 189人 ▽アフリカ(中近東含む) 46人――。留学期間は▽ショート(14~31日間) 521人▽ミドル(32日~124日間) 167人▽ロング(125日~365日間) 20人。