初めての泥にニコニコ 都会ど真ん中の小学校でコメ作り

初めての泥にニコニコ 都会ど真ん中の小学校でコメ作り
初めて味わう泥の感触に笑顔を見せながら、田植えに励む児童
【協賛企画】
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 東京都品川区立御殿山小学校(齋藤早苗校長、児童645人)で6月16日、田植え体験が行われた。都会のど真ん中で児童らは泥だらけになりながら、普段味わえない感触を楽しんだ。今後は授業で稲が成長する過程を追い掛けながら、農業に携わる人々の工夫や努力を学ぶ。

 同校では去年から、山川九十九農園(東京都青梅市)と、地球環境ソリューションなどを手掛けるイメージワン(東京都品川区)の協力の下、校庭の一角に約18平方㍍の田んぼを設置。5年生の社会の授業における「未来を支える食料生産」の単元で米作りの実習を行い、農業の未来を考える場を設けている。

 5年生の学年主任を務める本宮雅俊主任教諭は「品川区の子どもたちは普段お米を食べていても、育ち方や農家さんの大変さがなかなかイメージできない。そんな中で、実際に自分で稲を植えて、少しでも育ててみることで、苦労を実感できる。さらに、自分で育てたお米を炊くという授業を通して、食育としても子どもたちにとって、すごくいい学びになる」と説明する。

 また、同校の地域コーディネーター土屋智宏さんも「校内の田んぼでコメを育てることで、5年生以外の子どももその成長に触れることができる。ヒキガエルやアメンボといった田んぼならではの生物を都心で見ることができる」と意義を話す。

 この日は見学者も含め、5年生の児童15人ほどが参加。山川九十九農園の担当者から「稲は浮いてこないように、泥の中に深く差し込む」といった田植えの方法や「1本の稲から1000粒のコメが取れる」といった豆知識を聞いた後、20㌢程度に成長した稲をロープの目印に沿って植えていった。

今年は専用アプリで田んぼを3Dモデル化し観察する
今年は専用アプリで田んぼを3Dモデル化し観察する

 御殿山小学校は周囲に高層マンションや高層ビルが立ち並んでおり、児童が自然に触れる機会は決して多いとは言えない。初めて泥に触れる児童も多く、その感触を楽しんでいた。小倉誉人さんは「とても楽しかった。コメの作り方を見たことはあったけど、初めて体験してみて育てる大変さが分かった」と話した。尾田竜之介さんは「初めて泥に入ったけど、すごく軟らかくて、意外に温かった。おいしいお米ができるよう、これから頑張って世話をしたい」と意気込んでいた。

 今後は授業で定点観察を行い、その成長過程を学ぶ。今年は新たに専用のアプリを使って、田んぼを3Dモデル化。1人1台端末を活用し、イネが成長する様子をデジタルで記録する。収穫は10月ごろ。家庭科の授業で土鍋を使って炊飯し、味わう予定。

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