科学技術・イノベーション白書 特集に高専の地域課題解決

科学技術・イノベーション白書 特集に高専の地域課題解決
iStock.com/Dilok Klaisataporn
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 2023年版「科学技術・イノベーション白書」が6月20日、閣議決定された。今年は「地域から始まる科学技術・イノベーション」を特集。地域に密着して課題解決に貢献するプレーヤーとして高等専門学校(高専)を取り上げ、独自のカリキュラムやプロジェクトを通して、地域産業の振興や人材育成に貢献しているとした。初等中等教育段階ではSTEAM教育やGIGAスクール構想などを取り上げ、「個人の幸せを追求し、試行錯誤しながら課題に立ち向かっていく能力・意欲を持った人材を輩出する教育・人材育成を目指す」とした。

 今回の特集の中では、高専について「高校と同じく、中学校を卒業した生徒が入学することができ、技術者に必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身に付けることができる」「日本全国には国公私立合わせて58校あり、約6万人の学生が学んでいる」などと紹介した上で、「産業界との共同研究、受託研究、技術相談や地域住民対象の公開講座などを通じて、地域活性化や地域からのイノベーションに貢献している」とした。

 あわせて、高専からスタートアップ人材が生まれつつある事例を紹介。入力された画像データを独自開発のAIモデルで解析し、全自動で点字へと翻訳する点字翻訳エンジンを開発した東京高専、高齢者施設などで室内画像と呼吸センサーによるバイタルデータを使用し、呼吸数、心拍数から健康状態を把握するシステムを開発した香川高専を取り上げた。

 また、長岡高専発スタートアップでは工場などにあるアナログ機器のさまざまな形状の目盛りを撮影し、AIでデジタル化した上で、遠隔でも監視できるカメラを開発。北九州高専発スタートアップでは、樹脂でできた柔軟な指先の構造を再現し、これまで難しいとされていたロボットハンドの「ほどよい力」を実現――といった事例も紹介した。

 初等中等教育の分野では、第6期科学技術・イノベーション基本計画に基づき、「社会の再設計を進め、Society5.0の社会で価値を創造するために、個人の幸せを追求し、試行錯誤しながら課題に立ち向かっていく能力・意欲を持った人材を輩出する教育・人材育成を目指す」として、STEAM教育やGIGAスクール構想を取り上げ、「好奇心に基づいた学びを実現し、探究力を強化する」ことが重要だとした。

 さらに、女子中高生の理系進路選択を支援するため、科学技術分野の女性研究者・技術者、女子学生と、女子中高生の交流機会を提供したり、実験教室、出前授業を実施したりするなどの取り組みを挙げたほか、高校の「理数探究」「総合的な探究の時間」での問題発見・課題解決を重視した学習活動、実験器具の設備整備の補助、理科観察・実験アシスタントの配置支援、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)での科学的な探究能力の育成などを取り上げた。

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