学校現場での生成AI活用ガイドライン 7月第1週にも公表へ

学校現場での生成AI活用ガイドライン 7月第1週にも公表へ
iStock.com/Boonyakiat Chaloemchavalid
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 文科省が夏前に策定するとしていた、「ChatGPT」など生成AIの学校現場での活用に関するガイドラインについて、同省が7月第1週にも公表する見込みであることが6月22日、分かった。夏休みの課題だけではなく、著作権や情報セキュリティーなど多様な観点が盛り込まれる方針。

 生成AIの活用ガイドラインについては、16日の閣議後会見で永岡桂子文科相が「学校現場が活用の適否について、適切に判断するための視点、また具体例を提供するとともに、個人情報保護や教育情報セキュリティー、著作権保護の観点も示していく必要がある」と強調。その上で、「夏季休業中の課題への対応の検討に間に合うように、可能な限り早く公表したい」と述べていた。

 現在の進捗(しんちょく)状況について、文科省初等中等教育局の担当者は「教育工学やAIの研究者といった専門家の意見を頂きながら、作業を進めている」とした上で、「夏休みを踏まえると、目指すところは(7月の)第1週」と公表時期を明らかにした。

 AIに関する政策の司令塔を担う政府の有識者会議「AI戦略会議」が5月26日に示した論点整理では、教育現場における生成AIの扱いについて、「生成AIが宿題に使われ適切な評価が損なわれる、また作文やレポートに生成AIを使うことで生徒・児童の創造力等が低下する懸念があるなど喫緊の問題がある」と指摘。

 一方で、利点については「生徒の理解度に合わせて教え方を調整する、AIとの対話的な教育方法を導入するなど、AIの利用により、教育効果が上がり、教員の負担も軽減できる可能性もある」としていた。文科省の担当者はガイドラインの中身について、「政府のAI戦略会議で透明性や信頼性というリスクだけでなく、利用の可能性にも触れていた。それに倣った書き方になる」と説明した。

 また、自治体の動きとしては、東京都教委が6月13日付けで都立学校に通知を出している。不正確もしくは無意味な回答が出る可能性や著作権を侵害する恐れがあるなどの注意点に触れた上で、日記や読書感想文、プログラミングといった宿題において、生成AIの回答をコピーして使用しないよう指導することを留意点として盛り込んだ。

 都教委は通知について、「現場の教員に生成AIの特徴や注意点を知ってもらう必要があった。決して生成AIを否定するものではない」と強調。文科省のガイドラインを踏まえ、活用方法について追加の通知も行うとしている。

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