中学生自殺の調査報告書、黒塗り外せる状態で掲載 さいたま市

中学生自殺の調査報告書、黒塗り外せる状態で掲載 さいたま市
iStock.com/DNY59
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 さいたま市立南浦和中学校で2018年、当時1年生だった男子生徒が自殺した問題で、さいたま市教育委員会は6月23日に同市のウェブサイトに公表した第三者委の調査報告書について、パソコン上で操作すると、関係者の氏名や聞き取り内容など、黒塗り部分の文字が読める状態になっていたことを同日、明らかにした。公表データを加工する過程でミスが生じたとみられ、同市教委の担当者は「公表データを事前に確認するチェック体制を整えたい」としている。

 同市教委によると、23日の午後2時半ごろ、同市のウェブサイト上で調査報告書を公開。同日午後3時50分ごろに匿名の情報提供があり、パソコン上で報告書をコピーして文書作成ソフトに貼り付けると、黒塗り部分の文字が見えるようになっていたことが判明した。これを受け、報告書のデータを公開停止し、同日午後4時40分ごろに修正したものを再掲した。この間、同市教委の職員からのアクセスも含め、59件の閲覧があったという。

 市教委の担当者は今回のミスが起きた過程について、マイクロソフトの文書作成ソフト「ワード」で作成された第三者委の調査報告書データに、テキストボックスの機能を使って黒塗りの加工を行い、それをPDF形式に変換したファイルを、そのままウェブサイトに掲載してしまったと説明。再掲時には画像データをPDF形式に変換したファイルに差し替えられており、テキストのコピーができない状態になっている。

 黒塗り部分には学校管理職や担任、部活動顧問、遺族などの氏名や、調査での聞き取り内容などが記されており、同市教委は遺族をはじめとする関係者に対し説明と謝罪を進めている。市教委の担当者は再発防止策について「公表データに関する基礎知識を改めて確認した上で、デジタル関係部署とも連携し、事前に確認するチェック体制を整えたい」と話す。

 男子生徒が自殺したのは18年8月で、遺族は部活動顧問による指導との関連を調査するよう求めていた。調査報告書では、「部活動顧問の指導が直接的もしくは決定的な要因であったとは考えにくい」としつつ、「内面や特性への個別的配慮のないまま、競技性の高い部活動である男子バドミントン部での強い言葉がけによる厳しい指導が続いたことが、部活動への不適応に大きく関与していることは否定できない」とした。

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