全国的に深刻な状況が続いている「教員不足」を巡り、永岡桂子文科相は6月27日の閣議後記者会見で、「安定的な学校教育を実現していくためには、正規教員を計画的に採用していくことが重要。全ての都道府県等に、速やかに目標を設定していただくことが望ましい」と述べ、公立小中学校の教員人事権を持つ全ての教育委員会に対し、正規教員比率の目標を定めるよう求めた。具体的な目標値については、「自治体によって教師の年齢構成や少子化の状況などの事情が異なるので、文科省として示すことはない」としつつ、「それぞれの地域における児童生徒数の見通しや正規教員の割合の現状等を分析するとともに、全国の状況も参照しつつ適切に設定していただきたい」と語った。
産休・育休の取得などによる欠員を埋めることができない「教員不足」を巡っては、本来は正規教員をあてがうべきところに非正規教員を起用する人事が常態化し、欠員の発生時に補充する教員免許保有者が足りなくなっていることが一因と指摘されている。このため、文科省は今年度、都道府県・政令市の教育委員会に独自の教員人事権を持つ「大阪府豊能地区教職員人事協議会」を加えた全国68団体を対象に、正規教員比率などの目標を設けているかどうかを初めて調査。この結果、50団体が目標を設定していると回答した。一方、設定していなかった18団体中7団体は、教員定数に対する正規教員比率が全国平均を下回っていた。
この結果を受け、永岡文科相は「『設定していない』と回答した都道府県等に対する聞き取りによれば、『全国平均より正規教員の割合が高いため』と答えた団体もあったが、教員の計画的採用の重要性や教師不足の状況等を踏まえれば、全ての都道府県等において速やかに目標を設定していただくことが望ましい」との認識を示した。
今回の調査では、2023年度の始業日の教員不足が前年度の同じ時期と比べてどう変化したかについても尋ねている。この結果、「悪化した」が29団体と最多を占め、「同程度」が28団体、「改善した」と答えたのは11団体にとどまった。永岡文科相は「引き続き厳しい状況が明らかとなった。しっかりと教員不足に対応しなければいけないと考えている」と述べた。