起業の流れを疑似体験 千葉商が千葉大と連携しアントレ教育

起業の流れを疑似体験 千葉商が千葉大と連携しアントレ教育
オンライン教材を使って、起業の流れを疑似体験した連携授業
【協賛企画】
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 起業家精神(アントレプレナーシップ)を学んでもらおうと、千葉県立千葉商業高校(鈴木栄次校長、生徒1005人)で6月27日、千葉大学との連携授業が行われた。全日制の1年生320人を対象に、同大大学院生が開発したオンライン教材を使用し、ステークホルダー(利害関係者)へのメール作成を体験。会社を起こし、事業を行うまでの流れを学んだ。

 同校はビジネス社会で活躍できる人材の育成を目指し、千葉大の協力を得て「アントレプレナーシップ教育」を実施。来年度には商業科に「アントレプレナーシップコース」を新設する。

 授業で使用した教材「‐起業シミュレーション教材‐ひな社長の挑戦」は2125年の近未来架空都市「虹が崎市」を舞台に、過疎の進む地域の課題を解決するために女子中学生「朝海ひな」が起業するという設定。生徒は、ひなに伴走しながら、事業内容を決めるだけでなく、取引先との交渉や利益試算といった会社経営の流れを疑似体験できる。

 教材を開発し、授業の講師も務めた同大大学院生の小牧瞳さんは「さまざまな人に相談して、もがきながら企業ができているということを学んでもらいたくて作成した。事業をゼロから立ち上げるというステップを知り、実際に体験することで、メールの書き方などのスキル面だけでなく、新しいことに意欲を持ってチャレンジするという社会人に必要な姿勢も理解してもらえる」と強調する。

 この日はひなが考案した1泊2日の観光漁業ツアーを実現するため、旅館のおかみや漁協の組合長に対して協力を依頼するメールを作成した。メールには事業内容を伝えるだけでなく、「漁業を担う人が毎年減っており、現在も人出不足。漁業を楽しいと思ってくれる人を少しでも増やしたい」や「観光客数が減少していることに伴い、売り上げが下がっている」といった、問題の解決につながることを説明するという課題を設定。生徒はペアになり、どうすれば互いにメリットがある「Win‐Win」の関係であることが示せる文章になるか相談しながら考えていた。

 生徒の竹谷瑛斗さんは「自分の思い付いたことをビジネス用の文章に仕上げるのは難しく、勉強になった。将来、就職した時に活用できると感じた」と喜んだ。千葉大学に協力を依頼した大川裕二教諭は「自分から何かを考えて一歩踏み出すということに慎重になる生徒が年々増えている印象。自分で創造的なものをやる楽しさを感じてもらうとともに、失敗しても立ち上がるという経験をさせて、社会に出してあげたかった」と狙いを説明する。

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