知的障害のある球児が挑む夏 都の特別支援学校で初の大会出場

知的障害のある球児が挑む夏 都の特別支援学校で初の大会出場
試合用のユニフォームに袖を通し、笑顔を見せる選手たち
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 7月8日から始まる第105回全国高等学校野球選手権記念大会西東京大会に、都内の特別支援学校として初めて出場する都立青鳥特別支援学校(諏訪肇校長、生徒150人)。初戦まで10日を切った7月1日、交流のある慶応義塾高校(横浜市)の練習場で、選手に試合用のユニフォームと背番号が手渡された。

 青鳥特別支援学校は5月中旬に都高野連に正式加盟。現在の部員は7人で、試合成立に必要な9人に満たないため、松蔭大学附属松陰高校、都立深沢高校と連合チームを結成し、初の大会出場を果たす。

 この日は、試合用ユニフォームが初めてお披露目。同部の指導陣がデザインしたもので、白を主体に胸には紺色のローマ字で「Seicho」とあしらわれている。久保田浩司監督から背番号とともにユニフォームを受け取ると、選手たちはわれ先にと笑顔で袖を通していた。背番号11を着けるキャプテンの山口大河選手(3年)は「(試合用のユニフォームを着られて)うれしい。デザインがいい。(試合に出たら)守備をしっかりして、活躍できるように頑張りたい。まずは1勝」と意気込んだ。

 さらに、試合では慶應義塾高校と同じデザインのストッキングを使用する。慶應義塾高校は今年の選抜高校野球大会(春の甲子園)に出場した強豪校。知的障害のある高校生でも野球に取り組める環境を作ろうと久保田監督が2021年に立ち上げた「甲子園 夢 プロジェクト」に賛同すると、青鳥特別支援学校とも合同練習を行うなどして交流を続けてきた。

 選手にストッキングを手渡した慶應義塾高校の森林貴彦監督は「勝つのも楽しみの一つだが、大会に出るとさまざまな事でドキドキワクワクすると思う。それも楽しい経験。大会を大いに楽しんで、味わって、もっと野球がやりたい、うまくなりたいと思ってくれることを楽しみにしている」とエール。それに対し、山口選手は「慶應義塾高校と同じストッキングを使えて、とても光栄。このストッキングを使ってチームみんなが活躍できるように頑張る」と感謝を伝える手紙を読んだ。

 その後、選手たちは試合用のユニフォームで初練習。屋内練習場で森林監督が投手を務め、打撃練習を行った。普段はグラウンドの関係上、打撃練習がなかなか出来ないという選手たち。貴重な機会に真剣な表情でバットを振り抜いていた。

 久保田監督は「できれば試合に勝たせてあげたい。ただ初めての舞台なので、存分に楽しんでもらって、一生懸命プレーしてほしい。うまくいかなくても、経験は財産になるので、『思いっ切りやってこいよ』という気持ちでいっぱい」と話した。

 青鳥特別支援学校の初戦の相手は同じ世田谷区の都立松原高校。スリーボンドスタジアム八王子で7月10日午後0時半、試合開始予定。

https://vimeo.com/841821142

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