こども・若者の性被害防止対策の強化について検討している政府の2つの関係府省会議の合同会議は7月4日、合同会議としては3回目となる会合を内閣府で開いた。この日の会合では、こども・若者の性暴力被害に関する医療的な支援、心理的な支援、男性・男児に対する性暴力被害などをテーマに、有識者からヒアリングを実施。有識者からは就学前段階からの性教育の実施や、被害者が抱えるトラウマに関する保護者や教員への情報周知、男性・男児に対する被害の実態把握を求める提言が出された。
会合は冒頭以外非公開で行われ、医療的な支援の観点から医師の河野美江島根大学副学長、心理的な支援の観点から野坂祐子大阪大学大学院教授、男性・男児の性被害防止対策の観点から、臨床心理士・公認心理師で、立命館大学大学院博士課程後期に在籍している宮﨑浩一氏が、性被害防止対策で強化すべき対策などの意見を述べた。
性被害のワンストップ支援センターである「しまね性暴力被害者支援センターさひめ」の運営にも携わっている河野副学長はこどもの性被害に関連して、保育所や幼稚園、小学校などで性教育が十分に行われていないこと、中学校や高校では養護教諭を介して被害者を紹介されることが多いため、支援をする側と学校の連携が重要になってくることを強調。就学前の段階から正しい性の知識を学ぶ性教育の重要性や相談しやすい環境の整備が必要だと指摘した。
また、性被害を受けたこどものトラウマについて研究している野坂教授は、こどもたちの言葉にならない声を聞くために、性暴力とは何かを学ぶことや、対処法の学習と練習、保護者・教員への研修、日常的な心のケアとしてのトラウマの心理教育などの必要性を提言した。
男性・男児の性被害について問題提起をしてきた宮﨑氏は、男性・男児が被害になるケースの特徴を解説。被害者は被害に遭ったことを長く相談できず、誰に相談すればいいのかが分からなかったり、相談しても信じてもらえるか不安を抱えていたりするなどの課題があることを紹介し、被害の実態把握を行う必要があると呼び掛けた。
合同会議は前回と今回の有識者からのヒアリングなどを踏まえ、次回以降、具体的な性被害防止の強化策を検討。7月中旬をめどに新たな対策を打ち出す方針。