国立大附属校にいじめ重大事態への対応徹底求める 文科省が通知

国立大附属校にいじめ重大事態への対応徹底求める 文科省が通知
iStock.com/n
【協賛企画】
広 告

 文科省は7月7日、附属校を置いている国立大の全ての学長に対し、小中学校や高校、特別支援学校で「いじめ防止対策推進法」が規定している「重大事態」が起きた場合、文科省への報告や事実関係の調査といった同法が義務付けている対応を徹底するよう通知した。また、対応に漏れがないことを確認するための「チェックリスト」も作成し、文科省に重大事態の報告を行う際に提出するよう求めた。茨城大教育学部附属小学校で4月、2021年度にいじめが原因で児童が不登校に追い込まれる重大事態が発生していたにもかかわらず、同法で義務付けられた調査を実施していないことが判明するなど、今年度に入って国立大附属校での不適切な対応が相次いで発覚したことを受け、改めて周知する必要があると判断した。

 文科省によると、茨城大教育学部附属小学校では21年度、いじめが原因で児童が不登校になった。いじめ防止対策推進法は、被害者が不登校に追い込まれるケースを重大事態と位置付け、国立大附属校の場合は文科相に報告するとともに、事実関係などを調査するよう義務付けている。だが、茨城大は4月に毎日新聞が報道するまで、こうした対応を怠っていた。

 また、東京学芸大附属大泉小学校でも6月、いじめを認知した学級担任が約半年間にわたって管理職への報告を怠るなど不適切な対応をしていたことが明らかになった。その後、被害者とされる児童は不登校になっており、同学は重大事態と認定して調査を進めている。

 相次ぐ問題を受け、文科省の通知は「いじめ対応に当たっては、1人の教職員が抱え込むのではなく、学校が一丸となって組織的に早期発見・早期対応に努め、いじめを受けた児童・生徒を徹底して守り通すことが重要」と指摘。各学長に対し、重大事態が起きた場合はいじめ防止対策推進法に加え、国が定めた基本方針やガイドラインに沿った対応を附属校の全ての教職員に徹底させるよう求めた。さらに、校内のいじめ対策組織などが形骸化していないかどうかを定期的に確認し、必要に応じて改善を図るなど、学内のガバナンス体制を点検したり、見直したりするよう要請した。

 また、文科省が実施している21年度の「児童・生徒の問題行動・不登校調査」では、国立大附属校はいじめに関する校内研修会を実施したり、いじめ防止のために設置している校内組織を招集したりした学校の割合が低い傾向にあった。このため通知では「地域のモデル校となるべき国立大附属校においては、積極的に防止対策に取り組んでいただきたい」と注文を付けた。

広 告
広 告