小学校の教員は授業準備、中学校の教員は部活動指導に最も負担を感じている――。外資系生命保険会社「ジブラルタ生命」が7月12日に発表した、5~6月に男女1000人ずつ計2000人の教員を対象に実施したインターネットのアンケート調査の結果で、こんな傾向が明らかになった。
調査は20~60代の教員を対象に実施しているもので、昨年に続き2回目となる。教員を志した動機や仕事上の苦労などを選択式(複数回答可)で尋ね、小学校729人、中学校535人、高校542人、特別支援学校194人の計2000人の教員から回答を得た。
小学校では、苦労している仕事として「授業の準備」を選ぶ教員が47.7%と最も多く、「保護者とのコミュニケーション」(46.2%)、「学校行事の準備・運営」(42.7%)が続いた。中核業務とも言える「授業」(28.7%)や「児童・生徒の学習指導」(25.1%)を挙げる比率も中学校や高校より高く、授業に絡む仕事が負担となっているのが小学校の特徴と言えそうだ。教科担任制を敷いている中学校や高校と異なり、1人の教員が多くの教科を教えなければならず、受け持ち授業数も多いことが影響しているとみられる。
一方、中学校の教員が最も負担感を感じているのは「部活動・クラブ活動の指導」(37.9%)。「テストの作成・採点」も35.5%と全校種の平均(24.3%)より10㌽以上高かった。
また、回答者の役職別で分析したところ、管理職では「保護者とのコミュニケーション」(53.0%)と「PTA関連の業務」(37.4%)を挙げる比率が非管理職と比べて著しく高かった。学校の顔役として、保護者や地域との付き合い方に苦労している現状がうかがえる。
年代による負担感の違いも見られた。「授業の準備」「授業」「児童・生徒の学習指導」といった業務について「苦労している」と答えた教員の割合は20代が最も高く、年代が上がるにつれて低下する傾向がみられた。「部活動・クラブ活動の指導」は30代と40代が高く、放課後や土日の指導が子育て世代の負担となっている可能性がある。一方、「児童・生徒の生活指導」や「テストの作成・採点」などの仕事は年代による負担感の違いがあまり見られなかった。
教員になりたいと思った理由では、用意された11の選択肢(「その他」「特になし」を除く)のうち、「教えることが好きだから」が40.1%でトップ。「子どもが好きだから」が36.7%で続いた。「収入が安定しているから」(30.0%)と「福利厚生が充実しているから」(11.5%)もそれぞれ3位タイ、6位に食い込んでおり、待遇面で魅力を感じた志望者が一定数いることを示している。「クラブ・部活動の指導をしたいから」(11.4%)は7位だった。
教員としてやりがいを感じる瞬間を尋ねる設問では、上位3つの回答は「児童・生徒の成長が感じられたとき」(69.0%)、「児童・生徒の笑顔をみたとき」(55.6%)、「児童・生徒と感動を分かち合えたとき」(49.9%)で、昨年から変化がなかった。