高校生の就職、コロナ禍からの回復鮮明 全教など調査

高校生の就職、コロナ禍からの回復鮮明 全教など調査
調査結果について説明する全教と全国私教連のメンバーたち
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 全日本教職員組合(全教)と全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)は7月13日、2022年度の高校生と特別支援学校高等部の卒業生を対象とした就職状況に関する調査結果を公表した。就職内定率は前年度比1.5㌽増の98.0%となり、新型コロナウイルスの感染拡大前に就職活動が行われた19年度以来3年ぶりに上昇した。新型コロナによる活動制限が緩和される中、飲食や観光、宿泊といったサービス業を中心に企業が積極採用に転じたためだとみられる。一方、高校生の就職慣行として長年続いてきた「1人1社制」のルールを緩和した和歌山県では、内定が得られなかった生徒が他県より多い傾向にあるとして、両団体は「『1人1社制』は維持すべき」としている。

 調査は1994年度から続いているもので、就職希望者がいる公立高校・特別支援学校と私立高校を対象として2~3月に実施。29都道府県の366校が回答した。このうち特別支援学校は16校だった。

 調査の結果、1万2025人の就職希望者のうち1万1780人(98.0%)が内定を得ていた。アンケートの回答には、22年度の求人の特徴について「コロナ禍前に戻りつつある。十数年ぶりの求人という企業がいくつかあった」(東京)、「飲食系・サービス・ホテル・製造業の求人増加」(佐賀)、「コロナ禍以前より指定校求人数増加。飲食業回復傾向」(大阪)といった記述があり、コロナ禍からの景気回復や人手不足を背景にした求人数の増加が内定率上昇につながった可能性が高い。

 一方、就活の解禁段階で各生徒が応募できる企業を1社に限定する「1人1社制」を21年度から見直し、複数社への応募を認めるようになった和歌山県では、内定を得られなかった生徒が45人いた。21年度の133人と比べると減ったものの、回答があった29都道府県の高校の未内定者(245人)の約5分の1を占めており、全教は「他の自治体と比べて突出して高い」としている。和歌山県の高校からは「複数応募が重なると競争率が高まり、受からない子はなかなか内定をもらえない」との報告が上がってきているという。

 「1人1社制」については大阪府も22年度から見直し、一定の条件を満たせば2社まで応募をできるようにした。全教の髙木りつ中央執行委員は「複数応募制を導入した自治体は影響について検証し、改善することが求められる」と話した。

 国の有識者会議は20年2月、「1人1社制」が就活生と企業のミスマッチにつながる可能性もあることから、地域の実情に応じて見直すことも選択肢だとする報告書をまとめている。

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