さまざまな事情で家庭から離れ児童養護施設で生活する子どもについて、小倉将信こども政策担当相は7月10日、スマートフォンを持ったり、習い事をしたりできるよう支援を拡充する方針を示した。同日、東京都立川市の養護施設「至誠学園」を視察した小倉こども政策担当相は、視察後、記者団に対し「子どもたちからの意見を踏まえ、スマートフォンのさらなる活用や習い事など学校外での学習体験の充実を含め、2024年度予算編成過程の中でしっかりと検討する」と述べた。
児童養護施設に入所する子どもを巡っては、国などが児童養護施設に支給する「措置費」で支出できるのは、スマートフォンの所持は高校生のみ、学校外の学習体験は学習塾のみなどと厳しい制約がある。
小中学生のスマートフォンの所持について、小倉こども政策担当相は「早ければ小学校高学年になると、ほとんどのクラスメートがスマホを持っている中、例えば学校の授業のことや、部活動のこと、それ以外の学校生活のことの情報を、友達や学校からもらえないとの声が(子どもたちから)あった」とした上で、「高校生だけではなく、それ以下の年齢の子どもたちも学習のため、学校生活で必要不可欠なものを行うために必要であるという認識を、子どもたちの声を聞いた上で感じた」と強調した。
また習い事を巡っては、「例えば、水泳。学校は夏の間しかやっていないので、習い事としてやりたいという声があった。改善するよう検討していきたい」と述べた。
児童養護施設は22年3月末時点で全国に610カ所あり、虐待などあらゆる事情を抱えた子どもたち約2万3000人が入所している。至誠学園は東京都立川市を中心に3つの児童養護施設を運営しており、100人以上の子どもが生活している。大学進学を目指すなど18歳以降の自立支援に特化した施設や、親子の支援に特化した施設など、それぞれ多様なコンセプトを持ち運営している。