登校だけを目標としない方針、保護者に説明を 総務省が指摘

登校だけを目標としない方針、保護者に説明を 総務省が指摘
iStock.com/Hakase
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 「登校という結果のみを目標にしない」という国の不登校支援の指針を学校は周知したつもりでも、保護者には十分に伝わっていない――。学校や保護者を対象とした調査の結果、こうした認識のギャップが浮かび上がったとして、総務省は7月21日、改めて周知の徹底を図るべきだとする意見を文科省に通知した。

 2016年に不登校の児童生徒にも学びの場を提供するための「教育機会確保法」が成立。翌17年に同法に基づいて国が策定した基本指針は「登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」とうたっている。21年度には不登校の児童生徒が約24万5000人と過去最多に達する中、総務省は基本指針に沿った支援が現場に浸透しているかどうかを確かめようと、計28校の小中学校にヒアリングをするとともに、不登校の子どもの保護者にアンケートを実施し、88人から回答を得た。

 この結果、学校側は22校(79%)が登校のみを目標としないという指針の考え方を保護者側に伝えていると答えた。だが、保護者側のアンケートでは、こうした考え方を「知っていた」との回答は37人(42%)にとどまり、49人(56%)は「知らなかった」とした。

 また、教育委員会が不登校支援のために設置している教育支援センターの情報を保護者に伝えている学校は約9割に達する一方、フリースクールなどの民間施設に関する情報を提供している学校は3割未満にとどまることも今回の調査で判明した。一方、保護者の約7割は民間施設の情報も伝えてもらいたいと考えており、ニーズに沿った情報提供が行われていない可能性も浮かび上がった。

 文科省は17年4月に基本指針の内容を全国の教育委員会などに通知し、19年10月にも登校という結果だけを目標にするのではない旨を改めて周知している。総務省の担当者は「文科省がこれまで周知を図ってきたことは認識しているが、今後も引き続き進めていく必要があると考えている」と話した。

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