危機管理マニュアル、1.3%の学校で未作成 文科省が調査

危機管理マニュアル、1.3%の学校で未作成 文科省が調査
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 今年3月、埼玉県戸田市の公立中学校に刃物を持った不審者が侵入し、教員が切りつけられた事件を受け、文科省が全国の学校を対象に実施していた危機管理マニュアルについての調査結果が7月28日、公表された。危機管理マニュアルを作成している学校は98.7%で、1.3%の学校で未作成であることが分かった。作成していた学校のうち、不審者侵入についての防犯対策を記載している学校は95.9%、さらにこのうち校門や校舎入り口などの防犯対策「3段階のチェック体制」を記載している学校は59.6%にとどまった。危機管理マニュアルは、学校保健安全法第29条において各学校での作成が義務付けられている。同省は同日付で全国の教育委員会などに通知を発出し、危機管理マニュアル未作成の学校に対して確実に作成するよう促したほか、不審者侵入の防犯対策や3段階のチェック体制についてもマニュアルに盛り込むよう求めた。

 調査結果を校種別に見ると、危機管理マニュアルを作成していたのは▽小学校 99.8%▽中学校 99.5%▽義務教育学校 100%▽高校 98.8%▽中等教育学校 96.2%▽特別支援学校 99.7%▽幼稚園 96.1%▽幼保連携型認定こども園 96.9%。

 このうち不審者侵入についての防犯対策を記載していたのは▽小学校 97.9%▽中学校 96.5%▽義務教育学校 98.5%▽高校 92.7%▽中等教育学校 94.0%▽特別支援学校 98.0%▽幼稚園 92.3%▽幼保連携型認定こども園 95.0%。

 さらに、このうち3段階のチェック体制を記載していたのは▽小学校 63.4%▽中学校 61.7%▽義務教育学校 58.4%▽高校 52.0%▽中等教育学校 59.6%▽特別支援学校 53.2%▽幼稚園 57.8%▽幼保連携型認定こども園 53.8%――と、どの校種でも比較的低い傾向にあった。

 3段階のチェック体制とは「A校門」「B校門から校舎への入り口」「C校舎への入り口」の3つの場面で、不審者の侵入を防ぐための具体的な策を示すもの。同省が示した具体的な方策例は、「A校門」で▽校門の活用方法▽校門の施錠管理▽校門の利用箇所・利用時間の指定――など、「B校門から校舎への入り口まで」で▽来訪者の校舎への入り口や受付への案内・誘導・指示▽通行場所の指定▽死角の排除――など、「C校舎への入り口」で▽入り口や受付の指定・明示▽受付での来訪者の確認▽名札の着用――など。

 調査は今月12日までに回答があった、全国の小中高、特別支援学校など4万8485校の回答を集計した。

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