民間のフリースクールなどの情報が不登校の児童生徒の保護者に十分に伝わっていないことが総務省の調査で判明したのを受け、永岡桂子文科相は7月28日の閣議後会見で、「保護者が有益な情報を得られるよう、学校外施設について分かりやすい情報提供を行うよう教育委員会に周知していく」と述べた。保護者側に伝えるべき情報を一覧化し、近く事務連絡として全国の教育委員会などに文書で伝える。
不登校の児童生徒にも学びの場を提供するための「教育機会確保法」が2016年に成立し、翌17年に策定された基本指針は「登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」とうたっている。
こうした考え方に基づいた支援が学校現場に浸透しているかを確認しようと、総務省が22年に調査したところ、小中学校の約8割は「登校という結果のみを目標にするのではない」という趣旨を保護者に伝えたとの認識を示す一方、こうした考え方を「知っていた」と答えた保護者は約4割にとどまり、認識のずれが明らかになった。また、「悩みや不安を学校に相談しづらかった」と考えている児童生徒や保護者が一定数いること、フリースクールなどの民間の支援施設に関する情報を保護者に伝えていない学校が多いことも分かり、総務省は21日、文科省にこうした課題を踏まえた支援策の推進が必要だと伝えた。
永岡文科相は28日の会見で、情報提供の在り方を改善することに加え、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡充を進めていく考えも改めて表明。「総務省の意見も踏まえ、今後も不登校児童生徒を支援してまいりたい」と語った。