負けず嫌いな子どもにチャンスを――。元サッカー日本代表の本田圭佑選手が経営するNowDoは8月1日、本田選手がルールを考案し、10歳以下の子どもを対象にしたサッカー全国大会「4v4(フォー・ブイ・フォー」の全国大会を創設すると発表した。同日、千葉市の「ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA」で記者会見とエキシビションマッチを行った本田選手は「この大会を通じてサッカー選手の育成はもちろん、一人でも多くのユニークな、将来日本を背負っていくような人材を輩出できれば、発起人としてこれほどうれしいことはない」と大会に込めた思いを語った。大会は8月から11月まで全国各地で予選ラウンドを行い、12月に全国大会を開催する。
フットサルコートを使って行われる「4v4」は、1チーム6人で、一度に4人の選手がプレーできる。途中の交代は何度も行ってよく、ゴールキーパーも積極的に攻撃に参加することができる。ボールを持つと20秒以内にシュートをしなければならないため、攻守の入れ替えも激しい。ベンチに監督やコーチがいないのも特徴で、戦術や交代のタイミングを子どもたち自身が考えて主体的に動いていかなければならないため、考えるサッカーが自然と身に付く、という。
4v4の対象を10歳以下とした理由について本田選手は「小学生は1学年違えば体も違う。(育成年代の最年少カテゴリーとなっている)U-12の大会は事実上小学5、6年生の大会になっていて、小3、小4が活躍できなかった。それなら(小3、小4のための)全国大会をつくってみようじゃないかと思い至った。いざどんな全国大会をつくろうかと考えてみると、今まで抱えていたサッカー界や日本社会に対する疑問や不満、そういうものを子どものサッカー大会を通じて少しでもいい方向に変えるような大会にしたいと、新しいルールや仕組みにした」と説明する。
8月1日から11月30日まで、全国200以上の予選ラウンドが行われる予定で、予選ラウンドは何度も参加でき、結果に応じてポイントが付与される。12月に行われる全国大会には、予選ラウンドのゴールドランクの大会で優勝した16チームと、予選ラウンドでの獲得ポイント上位32チームが出場できる。
本田選手は、子どもの頃のサッカー経験を振り返り、「僕自身もU-12で予選を戦った一人だが、あっさり敗戦してしまった記憶がある。それで僕のU-12の大会は終わった。『なんてチャンスの少ない大会なんだ』と思った。失敗しても、負けたとしても次に勝てばいいじゃないかと、そういう子たちを一人でも増やせるような大会にしたい」と強調。トーナメント制のデメリットを批判し、全国大会に向けて何度もチャレンジできる仕組みにした点を特徴に挙げた。
「一生懸命頑張っているチャレンジャーを後押しする仕組みやルールができればという思いでつくった部分がすごくある。たかだかサッカー界、たかだか子どもの大会と思うかもしれないが、たかだかサッカー界から僕みたいな変な人間が生まれたのも事実。この大会を通じてサッカー選手の育成はもちろん、一人でも多くのユニークな、将来日本を背負っていくような人材を輩出できれば、発起人としてこれほどうれしいことはない」と本田選手。
「手軽にプレーできるのは、大事な要素だ。学校でも、例えば体育の授業などで取り入れることができれば一番いいなと思う。サッカーは足でやるだけ他のスポーツに比べてハードルが高い。でもまずは、これで遊んでみるというところから教育現場に落とし込めたらいいなと思う。まだビジョンを具体的に考えて実行しているわけではないが、タイミングが合えばトライしてみたい」と、学校教育との連携についても前向きだ。