教員の暗黙知や経験値も尊重を こども施策のEBPM巡り

教員の暗黙知や経験値も尊重を こども施策のEBPM巡り
こども大綱の政策立案に関して議論した基本政策部会(YouTubeで取材)
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 こども大綱の策定に向けて検討を進めているこども家庭審議会基本政策部会はこのほど、第5回会合を開き、エビデンスに基づいた政策立案(EBPM)をこども施策で推進していくための考え方や、こども・若者の意見反映の仕組みなどについて議論した。こども家庭庁のEBPM研究会で座長を務める貞廣斎子委員(千葉大学教育学部教授)はエビデンス支援機関の創設を提言するとともに、学校の教職員をはじめとする、こどもと接する最前線の専門家の暗黙知や経験値も尊重すべきだと強調した。

 少子化社会対策大綱や子ども・若者育成支援推進大綱、子供の貧困対策大綱など、既存のこどもに関する大綱を一本化することになるこども大綱では、今後5年間で達成すべき具体的な数値目標や指標を整理し、基本的施策ごとに設定することが想定されている。

 これらを議題としたこの日の会合では、EBPMの考え方やこども・若者の意見反映の仕組みなどを検討。EBPMについて貞廣委員は「1回導入した政策を続けるのはEBPMの哲学とは反してしまう。むしろ検証してうまくいかなければ別の形でやり直していく試行錯誤のプロセスがビルトインされていないと、毒にも薬にもなるというところの毒として機能してしまいかねない。失敗をしっかり認め、不都合な真実を見つめてトライ&エラーをしていくということが大事だと思う」と指摘し、政策立案をサポートするエビデンス支援機関をつくる必要性を提言した。

 一方で貞廣委員は「(学校の教職員など)最前線の専門家が必ずしもすぐには言語化できない、定量化できないけれども大事だと思っている暗黙知や経験値のようなものを尊重すべきだ。可能であれば、われわれのような研究者が支援をして何らかの形で概念化、定量化、可視化する努力はすべきだと思うが、最前線の専門家の暗黙知や経験値はもろもろの政策を進めていくときの宝になる。この辺もあまり低く見積もらないのが重要だ」とも述べ、定量的に切り取ることが難しいものも重視していくべきだとした。

 また、こども大綱の数値目標や指標については、子どもの権利やウェルビーイングに基づくものにすべきだという声も複数の委員から上がった。

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