警察庁が「闇バイト」の防止に向けた事例集 学校での活用促す

警察庁が「闇バイト」の防止に向けた事例集 学校での活用促す
iStock.com/Milan Kostic
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 高額な報酬をうたう「闇バイト」に応募し、特殊詐欺などの犯罪に加担させられる子どもが後を絶たないことを受け、警察庁は巻き込まれる際の具体的なパターンなどをまとめた事例集を作成した。中学校や高校などで開催される非行防止教室での活用も想定したものだという。文科省は8月10日付で全国の教育委員会などに事務連絡を出し、生徒指導の現場で積極的に役立てるよう求めた。

 事例集は、少年たちが犯罪に加担するまでの最も多く見られる流れとして、①自らSNSで「高額報酬」などのキーワードを検索して応募する②犯行グループから連絡が入り、匿名性の高いアプリでやりとりする③犯行グループに言われるがままに、自分や家族、交際相手などの個人情報を送信する④犯罪行為への加担を拒むと、犯行グループから個人情報に基づいて脅迫される――というパターンを紹介。「脅迫の結果、少年たちは犯罪行為に加担せざるを得ない状況となり、逮捕されるまで使い続けられる」と指摘している。その上で、こうした事態を防ぐためには、簡単に抜けられなくなる仕組みを子どもたちに伝えることが効果的だとしている。

 一方、事例集によると、「闇バイト」を通じて犯罪に加担する少年の中には、最初から犯罪行為だと分かっていて応募するケースもあるという。こうした少年に対しては、検挙された後に待ち受ける悲惨な現実を伝え、道徳心に訴え掛けることが大切だと説明している。また、摘発された少年たちが「家族や警察に相談すればよかった」と供述している事実を示し、すでに犯罪に加担してしまった場合でも、さらなる犯罪に手を染める前に警察に相談するよう呼び掛けている。

 文科省は、生徒指導に関する法令や基本的な考え方をまとめた「生徒指導提要」で、児童生徒の非行防止策の一つとして、警察官らを外部講師として招き、地域の非行の実態について説明してもらう「非行防止教室」などを開催することを推奨している。10日付の事務連絡では、非行防止教室を実施する際、警察庁が今回作成した事例集も活用しながら、「闇バイト」の問題を積極的に取り上げるよう要望した。

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