幼稚園、保育所、認定こども園の教員や保育士と小中学校の教員が集まり、お互いのことをよく知ろうと、茨城県東海村の教員らが8月18日、全国的にも珍しい「こ保幼小中接続研修」を開いた。村内の幼稚園、保育所、認定こども園、小学校、中学校の教員・保育士が参加し、チームに分かれて、夏休み明けに子どもも教員も学校生活が楽しくなるような工夫を考え、ロールプレイング形式で提案した。
東海村には私立を含めて幼稚園、保育所、認定こども園が15園あり、小学校との連携に力を入れている。今回で5回目を迎えた接続研修では、初めて中学校の教員も参加。約30人の教員や保育士が会場となった同村立白方小学校に集まった。
参加者は考えたい子どもの発達段階ごとに4つのチームに分かれ、1時間ほど本格的なクイズやゲームをチーム対抗で競い合って打ち解けた後、憂鬱(ゆううつ)になりがちな夏休み明けの学校を想定し、子どもも教員も2学期が楽しくなるような環境づくりや2学期最初の日の過ごし方を話し合った。
各チームの発表はロールプレイング形式で行われ、教員役や子ども役を演じながら、どんな活動を行うかを具体的なイメージとして共有した。小学3・4年生の子どもを対象にしたチームでは、夏休みの宿題の提出場所を学校中のさまざまな場所に隠し、探検しながら宿題を提出していくことを提案。宿題を忘れてきてしまった子に対しては、次の日に持参することを書いた紙を提出する形にしたことで、宿題を忘れてしまった子も参加でき、必ず持参することを約束するという意思表示ができるようにした。
また、中学生について考えるチームでは、あまり乗り気でない生徒がいることを想定し、教室で車座になって夏休みの出来事を「フルーツバスケット」のルールで振り返るなど、多くの生徒が参加しやすい活動を考えた。
研修の企画メンバーの一人である同村立の「とうかい村松宿こども園」の岡田渉保育教諭は「堅苦しくなく、肩の力を抜いて考えたことを伝え合えるのがこの研修の良いところだ。校種が違っても、お互いのことを知ることがまずは大事だ。小学校に入ったばかりの子どもは何もかも手伝わないといけないと思われているが、実際は幼稚園でかなりのことができる。そのように、小学校の教員の幼児観と私たちの幼児観は違っていることもあり、引き継ぎでは十分に伝え切れないと感じている。こうした研修をきっかけに、お互いに交流する輪を広げていけたら」と期待を寄せる。
初めて参加した同村立東海南中学校の宇野沙也夏養護教諭は「小学校の教員は場を盛り上げることを考え、中学校の教員はそうした雰囲気を負担に感じてしまう子のことを想定し、幼稚園の教員や保育士はその場にうまく入れない子を自然に入れるようにする方法を知っていた。多様な子どもがいて、誰もが楽しめるようなものを、さまざまな学校園の教員や保育士の視点で考えることができた。小さな子どもたちがやっていることも、工夫すれば中学生でも楽しめるものに変わることが分かった」と振り返った。