給食費を教員が集めたり、校長などの個人口座で管理したりなど、学校給食費に関する業務を学校に担わせている教育委員会が6割を超えることが8月31日、文科省の調査で明らかになった。自治体が徴収・管理する「公会計化」を導入していたのは519教委(34.8%)にとどまった。一方で公会計化の準備や検討をしていたのは454教委(30.4%)、導入の予定もなかったのは520教委(34.8%)と、65.2%の教委で学校任せになっている実態が判明した。依然として学校現場の負担が軽減されていない現状を受けて、同省は同日付で全国の教委に対し、公会計化を速やかに進めるよう通知を出した。
学校給食費に関する業務を巡っては、2019年の中教審答申で「公会計化及び地方公共団体による徴収を基本とすべき」とされており、教員の負担軽減の観点から自治体が徴収・管理を担うよう求められてきた。また校長などの個人口座で管理することで、会計の透明性が確保できない恐れも指摘されていた。
調査結果によると、昨年5月1日時点で公会計化を実施していたのは学校給食を実施する1794教委のうち519教委(34.8%)で、前年度より3.5ポイント増加したものの依然として3割ほどにとどまった。実施に向けて準備や検討をしていたのは454教委(30.4%)、このうち具体的な実施予定年度を決めていたのは362教委(24.2%)だった。
一方で、520教委(34.8%)が実施の予定なしと回答。都道府県別で見ると、▽佐賀県(73.3%)▽宮崎県(71.4%)▽青森県(70.4%)――の順で実施していない教委の割合が高かった。
実施の予定がない教委に理由を尋ねたところ(複数回答)、「情報管理のための業務システムの導入・改修に係る経費」(345教委)、「人員の確保」(318教委)、「情報管理のための業務システムの運用に係る経費」(302教委)などの順で多く、予算や人員で苦慮する実情が読み取れた。
31日に同省が出した通知では、教員の負担軽減や会計の透明性確保の観点から、教委と首長部局が連携して公会計化を進めるよう、全国の教委に改めて求めた。
同省の担当者は「(公会計化を)長らく呼び掛けてきたが依然として進まない現状を受けて、通知に踏み切った。学校現場の負担軽減や透明性の確保を踏まえ、教委の皆さんには意識を変えていただきたい」と話している。