全国知事会で子ども・子育て政策推進本部長を務める滋賀県の三日月大造知事が8月31日、知事会を代表して簗和生副文科相と面会し、教員の負担軽減と教育の質の向上を一体的に進めることや、「GIGAスクール構想」の着実な実施に向けた支援などを要望した。簗副文科相は30日に公表した2024年度予算の概算要求にこうした政策を盛り込んだことを説明。面会後に取材に応じた三日月知事は文科省の要求内容を評価した上で、「予算案に結び付くように、市町村などと連携して声を上げていきたい」と語った。
簗副文科相(左)に提言を手渡す滋賀県の三日月知事
岸田文雄政権が推進している子ども・子育て政策に地方の声を反映してもらおうと、全国知事会は7月、47都道府県の全ての知事をメンバーとする子ども・子育て政策推進本部を発足させ、59項目にわたる提言をまとめた。このうち、①教員の負担軽減と教育の質の向上の一体的推進②困難な環境にある子どもたちへの支援体制の強化③GIGAスクール構想の着実な実施に向けた支援の充実——の3つを文科省に対する重点項目と位置付け、三日月知事が簗副文科相に直接要望した。具体的には教員定数の改善や外部人材活用に向けた財政措置の拡充、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)の配置拡充のための予算確保、GIGAスクール端末を維持・更新する財源の確保などを求めている。
一方、文科省は30日に公表した24年度予算の概算要求で、小学校高学年の教科担任制の加速化などを通じて計5910人の教員定数改善を実現することや、教員に代わって学習プリントの印刷や電話対応などを担う「教員業務支援員」(スクール・サポート・スタッフ)を全ての公立小中学校に配置することなどを盛り込んだ。また、SCやSSWの配置拡充を掲げたほか、GIGAスクール構想についても、初期に導入した端末の更新費用として148億円を計上することで、国費によって端末の一新を進める姿勢を明確にしている。
簗副文科相からこうした説明を受けた三日月知事は面会後、報道陣の取材に対して「地方の声、現場の声に寄り添った概算要求を作っていただいた」と評価した。その上で「財務当局との交渉は容易ではないと思うが、質の高い教育を作っていく文科省の役割は重要であり、しっかりと後押しする必要がある。概算要求の項目が落ちることがないように、状況によっては緊急要望なども辞さずにやっていきたい」と述べた。