小倉将信こども政策担当相をチームリーダーとするこども家庭庁の「こども政策DX推進チーム」は9月1日、第5回会合を開き、保育現場でDXを推進していきながら、保育士の業務負担の軽減や保育の質の向上につなげていく方針を確認した。来年度予算の概算要求でも「保育所等におけるICT化推進等事業」を拡充し、保育施設のICT導入を推進。さらには統合的な園務支援システムによるデータ連携や各種業務の標準化を進め、保育現場でのDXを実現していく。
この日の会合ではオブザーバーのこどもDX推進協会も交え、保育施設のDX推進について議論。▽デジタル技術を保育現場で活用することで、保育士をはじめとする現場の業務負担を軽減し、さらにこどもや子育て当事者に向き合う時間を増やし、保育の質の向上を図る▽保育業務のICT化を推進しつつ、将来的な姿として保育現場と地方自治体の間のやりとりなどをオンライン化し、さらなる業務負担の軽減などを図っていく――という方向性を確認した。
こども家庭庁では保育現場でのDXの推進を2つのフェーズで捉えており、フェーズ1では、来年度予算の概算要求に盛り込んだ▽ICTを活用した業務システム導入費用の一部補助の対象に、実費徴収や延長保育の利用料の徴収などで活用するキャッシュレス決済の導入を追加▽自治体・ICT関連事業者、保育事業者などで構成される協議会を設置している自治体に対して、業務システム導入補助以外の取り組みを行っている場合に補助率をかさ上げ▽病児保育施設の7割以上で予約システムを導入し、効率的な管理体制を構築している自治体の補助率かさ上げ――などの拡充策によって、保育業務にICTを導入する施設を増やす。
その上でフェーズ2では、各種業務の標準化を進め、施設と自治体の間で、給付事務や指導監査などの業務がデジタルで完結する環境の構築や、園務システムのデータ連携やオンライン手続きを可能にすることにより、書類作成や紙媒体でのやりとりといった事務負担の省力化を進める。
小倉こども政策担当相は締めくくりのあいさつで「保育現場のDX化を推進していくためには、保育現場の方々や地方自治体の理解が不可欠だと思う。今後、地方自治体や保育現場の方々とよくコミュニケーションを取りながら、保育DX推進に取り組んでいきたい」と強調した。