静岡県牧之原市の認定こども園で当時3歳の園児が送迎バスの中に置き去りにされ、死亡した事故の発生から1年を迎えた9月5日、小倉将信こども政策担当相は閣議後会見で、対策として全国の保育所や幼稚園、特別支援学校などの送迎バスに設置が義務付けられた安全装置の装備状況について、年末までに整備状況の調査を行うことを検討する意向を表明した。小倉担当相は送迎バスへの安全装置の設置が完了していない施設・事業者には、早期の装備完了とチェックシートの活用などによる代替措置などを求めた。
この事故を受けて、送迎バスを運用している幼稚園や認定こども園、保育所、障害児通所施設、特別支援学校などに対し、安全装置の装備を義務化。来年3月31日までを経過措置期間とし、施設に対してはできるだけ6月末までに装備を完了するよう呼び掛けていた。こども家庭庁が6月に公表した調査では、同月末時点で55.1%の送迎バスで装備が完了する見込みだったことが分かっている。
9月5日の閣議後会見で小倉担当相は「年度内には義務付け対象となっている全ての施設・事業で安全装置を装備する必要があるので、各施設においては可能な限り早期に装備をしていただきたい」と要請。「遅くとも年末までには自治体や施設の負担も考慮しながら全国的な整備状況を調査することを検討していきたい」と、継続して安全装置の装備の進捗(しんちょく)状況を把握していく考えを示した。
その上で、まだ安全装置の装備が完了していない施設・事業者に対しては早期の装備を求めるとともに、「安全装置はあくまでもヒューマンエラーの防止を補完するためのもの」と指摘。▽乗降車の際に点呼や目視などにより、こどもの所在確認をする▽装備が完了するまでの間は運転席に確認を促すチェックシートを備え付け、車体後方にこどもの所在確認を行ったことを記録する書面を備える▽安全管理マニュアルを活用して職員の意識啓発を図る――などの事故防止対策を徹底するよう強調した。