「学校には全てのこどもの居場所になる努力求めたい」居場所部会

「学校には全てのこどもの居場所になる努力求めたい」居場所部会
「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」策定に向け、論点を議論した
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 「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」の策定に向けて議論しているこども家庭審議会の「こどもの居場所部会」は9月6日、第8回会合を開き、前回に引き続き、同指針の各論点について議論を交わした。「学校がこどもたちの居場所としての重要な役割を担っており、学校を捉え直すことが、全てのこどもに居場所があることに近づく方法なのではないか」との意見には、多くの賛同の声が上がった。同部会は次回、素案を提示する予定。

 この日は、こどもの居場所づくりに関する基本的事項について、委員から多くの意見が出された。成田秀幸委員(国立重度知的障害者総合施設のぞみの園診療部長)は、「不登校など学校に行けなくなったこどもが、簡単に次の居場所につながることができるかというと、そうはいかないケースが多い。学校には居場所としての役割もあるが、セーフティーネットとしての役割がある。学校の居場所としての役割や機能について、強調して記載していく必要があるのではないか」と指摘した。

 今村久美委員(カタリバ代表理事)は、「コロナ禍に家庭だけがこどもたちの居場所になったことが、苦しさを生んだ。その時、改めて学校はセーフティーネットなんだ、こどもにとって学校は安心安全な居場所としての役割を担っているのだと実感した。(中教審が2021年1月にまとめた)令和の日本型学校教育の答申の中でも、学校はそうした役割を担うことが明記されているが、それと呼応する形で今回の『こどもの居場所づくりに関する指針』でも、学校の重要性を強調していただきたい」と要望。また、学校以外にこどもの居場所資源がほとんどないという自治体が多いことを指摘し、「学校を捉え直すことが、全てのこどもに居場所があることに近づく方法なのではないか」と述べた。

 多くの委員は、今村委員の意見に賛同を示し、水野達朗委員(大阪府大東市教育長)も「本来、こどもにとって居場所であってほしい学校や家庭について、それを強調する文言があってもいい」と考えを述べた。その上で、「ただ、『学校がこどもたちにとっての居場所であるべき』というような強い表現を使ってしまうと、今、不登校などで『学校は居場所ではない』と感じている親子は、しんどい思いをしてしまう。そこが居場所であるかどうかは、本人がそう感じるかどうかが大きなポイントだ。今村委員が提出した資料にあるような『学校には全てのこどもの居場所になるための努力を求めたい』といった表現が一番しっくりくるのではないか」と話した。

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