不登校特例校「通ってみたい」6割以上 福岡市が25年度開設へ

不登校特例校「通ってみたい」6割以上 福岡市が25年度開設へ
iStock.com/takasuu
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 福岡市教育委員会はこのほど、市内の不登校および不登校傾向の中学生を対象とした「学びの多様化学校(不登校特例校)」を、2025年度に開設する方針を明らかにした。同市の22年度の不登校児童生徒数は4400人(速報値)で、18年度の1814人から5年間で約2.5倍に急増している。こうした状況を受け、不登校の児童生徒にアンケート調査を実施したところ、6割以上が不登校特例校に「通ってみたい」と回答。ニーズの高さを確認したことから設置に向けて動き出すことが決定した。

 中学生の不登校について、これまで福岡市では、市内の中学校全校に校内適応指導教室「ステップルーム」を設置するなどの対応を取ってきた。しかし、21年度時点で不登校児童生徒数が急増していたことが分かり、昨年10月に行われた福岡市総合教育会議で、高島宗一郎市長が急増している要因の分析や、対応の検討を要請した。

 これを受け、市教委では不登校支援の在り方を検討するため、今年6月から7月にかけて、22年度に不登校状態にあった小学5~6年生および中学生と、不登校状態にあった小中学生の保護者にアンケート調査を実施。142人の児童生徒と、362人の保護者から回答を得た。

 アンケート調査の一部に、不登校特例校の説明をした上で「不登校特例校に通ってみたいか」という問いを設けたところ、回答のあった児童生徒142人のうち88人が「通ってみたい」と回答。また、保護者は362人のうち290人が「通わせたい」と回答。こうしたニーズの高さから、不登校特例校の設置に向けた取り組みをスタートさせた。

 市教委の担当者は「子どもたちの約6割が望んでいることはもちろん、保護者の約8割が子どもを不登校特例校に通わせたいと思っているという結果は予想以上だった。不登校の理由や状況は、本当に一人一人バラバラだ。全員が不登校特例校を望んでいるわけではないが、不登校の子どもたちに選択肢を増やすことが重要だ」と話した。

 不登校特例校は福岡市早良区の同市教育センター内に設置する。対象者は不登校および不登校傾向がある同市内の中学生で、来年度は40~60人を想定して生徒募集を行う予定。今後は25年度の開設に向けて、施設の改修や、教育課程の検討などを進める。小学生を対象とする不登校特例校については、今後、児童や保護者へのアンケートなどで要望を調査し、検討していくとしている。

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