学校現場でのICTの利活用が進む埼玉県戸田市立戸田第二小学校(山根淳一校長、児童936人)で、メタバース空間に児童の作品を展示できる校内美術館「T2 MUSEUM」がオープンした。9月7日には6年1組の「図画工作」で、「T2 MUSEUM」に展示された全学年の児童の絵画を鑑賞する授業が行われた。
「T2 MUSEUM」はメタバース空間を活用したオンライン展示会などを手掛けるセキュアロジックと連携し、夏休み前に児童が制作した絵画を1人1点ずつ、同小を模したメタバース空間上に展示。8月2日に4年生の作品の展示が完了したのを皮切りに、児童や保護者に公開されていた。制作費用は戸田市が学校改革を支援するために実施しているクラウドファンディング「戸田市未来の学び応援基金」を活用して、約60万円の予算で実現した。
9月7日に行われた6年1組の「図画工作」の授業では、児童が自分の学習者用端末から「T2 MUSEUM」に入り、展示されている1~6年生と特別支援学級の児童の絵画を自由に鑑賞。気に入った作品のスクリーンショットを撮って、スライド上のワークシートに貼り付け、その作品の良さや美しさを文章にまとめた。それを児童同士で共有したり、話し合ったりしながら、作品に対する自分の見方や考え方を見つめ直した。
6年1組の弓長柚月さんは「低学年の子どもは自分の考えたことを自由に表現していて面白かったし、4、5年生くらいになると、しっかり考えながら描いていると感じた。他の学年の子の作品を見る良い機会になった。本物を見れば、さらに筆遣いなども分かると思うので、メタバースもリアルも、それぞれの良さがあると思う」と感想を話した。
山根校長は「本校の児童はICTを使いこなす力があるので、その力を活用していきたいと構想した。いずれは立体作品や書写の作品も展示できればと考えているが、セキュアロジックにお願いしている作品のアップが大変な作業になってしまっていることが課題だ。いずれは子どもたち自身が自分の作品を自分でアップできるようになるのが理想だ」と意気込む。