国際バカロレア機構事務局長が来日 「教師のネットワーク大切に」

国際バカロレア機構事務局長が来日 「教師のネットワーク大切に」
文科省との意見交換会の場で話すIB機構のヘイノネン事務局長
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 国際バカロレア(IB)機構のオッリペッカ・ヘイノネン事務局長と理事らが9月7日、都内で文科省幹部と面会し、意見交換会を行った。国内のIB認定校を200校にするという目標を今年3月に達成し、直近の6月末時点で211校となったことに対し、ヘイノネン事務局長は謝意を示すとともに、「この成果に満足するだけでなく、未来のことを考えたい。子どもたちが持つポテンシャルを最大限に発揮できるようにするという、われわれの責務をどう果たしていくかを共に考えたい」と呼び掛けた。

 文科省幹部からは、教員不足・GIGAスクール構想・不登校といった日本の教育課題が報告された。その中で不登校については、ヘレン・ドレネン理事長から「コロナ禍の影響もあり、他国でも多くの子どもたちが不登校になっている。対象を絞った再登校プログラムを考え、実践例を共有していくことが重要ではないか」といった意見が出た。

 意見交換会の後に教育新聞の取材に応じたヘイノネン事務局長は「日本でIB認定校が増えていることは喜ばしい。とりわけ公立学校では、教師教育や言語の面だけでなく、IBのアプローチを理解する上でも多大な努力がなされたはずだ。学校数だけでなく、教育の質にも目を向け、プログラムがうまく根付くよう支援していきたい」と語った。

 その上でIBの強みについて、「探究ベースのアプローチを重視している。これは教師に多くの自主性を認めるもので、大きな動機付けとなる。初等教育課程(PYP)、中等教育課程(MYP)の教師たちはいつも『教えるのが楽しい』と言う。探究が基盤にあることで、創造的な活動や振り返りがしやすく、教師のモチベーション向上や、児童生徒の協働にもつながっている」と強調した。

 さらに、新たな学びに挑戦したい日本の教師に向け、「IBでは世界中にいる教師のネットワークを大切にしており、教師が別の学校を視察したり、互いに支援したりするコミュニティーが出来上がっている。日本ではどうか分からないが、教師は自分と学級だけの孤独な仕事だと言われる国もある。一人の教師が重責を担うのではなく、他の教師とつながり、ポジティブなフィードバックや支援を得ながら、教育改革を進めていくことが大切だ」と話した。

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