「働き方改革」の議論に当事者の意見を反映させる 永岡文科相

「働き方改革」の議論に当事者の意見を反映させる 永岡文科相
閣議後記者会見で質問に答える永岡文科相
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 中教審で進められている教員の「働き方改革」や処遇改善の議論について、永岡桂子文科相は9月12日の閣議後記者会見で、「当事者(である教員)の意見を反映させることは重要だ」との認識を示した。そのための具体策として、2017~19年に中教審で「働き方改革」の進め方を議論した際、答申を出す前の素案段階で国民から広く意見を募ったことに触れ、「今後の審議の状況に応じ、こうした対応を取ることが考えられる」と述べた。

 永岡文科相は5月、長時間労働や深刻な担い手不足に直面している教員の負担軽減策や処遇改善について中教審に諮問した。これを受けて中教審は特別部会を設置し、8月末に「直ちに取り組むべき事項」を緊急提言として公表。今後は基本給の4%を「教職調整額」として上乗せ支給する代わりに残業代を支払わないことを定めた「給特法」の在り方などについて議論を継続し、改革の方向性を来春をめどに示すことにしている。ただ、議論の舞台となっている特別部会のメンバーについて、労働者の権利擁護に取り組む「日本労働弁護団」や現職教員からは「現場の意見が反映される構成になっていない」との批判が出ていた。

 永岡文科相はこうした指摘に対し、12日の会見で「特別部会には小学校および中学校の校長に加え、教師として勤務経験を有する方も委員として参画いただいている」と反論した。その上で「17~19年にかけて中教審で学校の『働き方改革』について検討した際には、答申の素案に対する意見を広く一般の方々から募集した」と振り返り、「今回も審議の状況に応じ、こうした対応を取ることが考えられる。当事者の意見を広く反映できるように努めていきたい」と語った。

 17~19年に議論した際の中教審の答申では、学校の業務を「基本的には学校以外が担うべき業務」「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」の3つに分類して負担軽減を進めていくことや、教員の時間外労働の上限を月45時間とガイドラインで定めることが提言された。また、繁忙期の勤務時間を延ばす代わりに夏休み期間などに休暇をまとめて取ることを可能とする「1年単位の変形労働時間制」を導入する考えが示された。変形労働時間制に対しては、意見募集の段階で賛否両論が寄せられた。

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