永岡桂子文科相は9月13日の臨時閣議で辞表を提出し、退任した。閣議後に文科省で記者会見を開き、約1年1カ月に及んだ任期を「現場に行って当事者から話を聞くところからスタートし、できる限りのことはやった」と振り返った。また、中教審で続いている教員の「働き方改革」や処遇改善の議論について、「次の大臣にも先頭に立っていただけるよう、しっかりと引き継ぎを行っていきたい」と語った。
永岡文科相は、岸田文雄首相が2022年8月10日に行った内閣改造で文科相として初入閣し、ちょうど400日の在任となった。任期中は旧統一教会問題や文化庁の京都移転などに対応した。
教育政策では、21年度に小中高の児童生徒を合わせて約30万人と過去最多を更新した不登校問題の対策に力を入れた。3月に不登校支援の総合的対策として「COCOLOプラン」を策定し、4月にはこども家庭庁と合同で不登校対策推進本部を発足させた。退任会見では「多様な学びの場を確保しなければいけないし、1人1台端末を活用した支援に必要な予算の確保も非常に重要になる。引き続き、誰一人取り残されない学びの保障に向けた環境整備が必要だ。今後はもっと、こども家庭庁と連携して取り組んでいただけることを期待している」と語った。
一方、深刻な長時間労働や担い手不足に直面している教員の負担軽減や処遇改善に向けた対応にも追われた。22年度に小中学校の教員を対象に実施した勤務実態調査の結果、依然として長時間労働が解消されていない現状を踏まえ、5月に中教審に対し、負担軽減策や処遇改善策を諮問した。中教審の特別部会が8月末に「直ちに取り組むべき事項」を緊急提言として取りまとめたことを受け、これまで以上に教育予算を確保することを宣言するとともに保護者や地域住民に「働き方改革」への理解を呼び掛ける大臣メッセージを公表した。給特法の在り方など、積み残しとなっている議論について、「来年の春ごろに一定の方向性を示すとしてさらに検討していくことになるが、引き続き丁寧な議論を重ねていただきたい。その議論を自民党の中から私も注視していきたい」と語った。