盛山正仁文科相は9月15日の閣議後記者会見で、公立学校の教員の勤務状況について「依然として長時間勤務が多い」との認識を示し、「引き続き(負担軽減に向けた)取り組みを加速していかなければならない」と「働き方改革」の推進に意欲を示した。
文科省が2022年度、公立校の教員を対象に実施した勤務実態調査では、小中学校の校長、副校長・教頭、教諭のいずれの職階においても、「在校等時間」が平日、土日ともに16年度より減少した。ただ、小学校教諭の6割以上、中学校教諭の8割近くが国の指針が定めた「月45時間」の上限を超える「時間外在校等時間」(残業)を記録。特に中学校の教諭は、少なくとも3人に1人が過労死ラインとされる「月80時間」を超える残業を強いられていた。
盛山文科相はこうしたデータを踏まえ、「『在校等時間』は減少しており、(改革の)成果はそれなりに出ていると考える」としつつ、「依然として長時間勤務の教師が多いのも実態だ」と述べた。24年度予算の概算要求で、教職員定数の改善や「教員業務支援員」などの支援スタッフの充実に向けた経費を計上したことを強調し、「教育の質の向上に向け、働き方改革、処遇改善、学校の指導運営体制の充実を一体的に進めていく」と語った。
一方、教員が他の職種より「働き方改革」への取り組みが遅れているかどうかについては、「一概には言えない。仕事の内容や質がどうなのかという点もある」と述べ、比較は難しいとの考えを示した。その上で「個別の先生が置かれている状況や深刻度などを検討し、対応していくしかないのではないか」と話した。