義務教育を十分に受けられなかった人や外国人などの学び直しの場である夜間中学を巡って、文科省は9月14日、全国の都道府県教育委員会などに対して、設置や充実に向けた取り組みを加速させるよう書面で求めた。夜間中学は今年4月時点で23都道府県・政令市に44校あり、2025年度までに36都道府県・政令市58校に拡大する予定。国は全ての都道府県・政令市に少なくとも1校設置する方針を打ち出し、全国の教委に対して設置に向けた説明会を実施するなど、働き掛けに本腰を入れている。
同省によると、夜間中学は今年4月時点で23都道府県・政令市に44校ある。24年度には新たに7都道府県・政令市(福島市、群馬県、大阪府泉佐野市、鳥取県、宮崎市、北九州市、佐賀県、熊本県)、25年度には6都道府県・政令市(石川県、愛知県、名古屋市、三重県、滋賀県湖南市、岡山市)にそれぞれ設置される計画で、25年度までに36都道府県・政令市、58校に増える予定。
事務連絡では、20年の国勢調査で全国的に未就学者や最終学歴が小学校卒業の人がいたことを指摘し、夜間中学のニーズについて改めて強調。さらに今年6月に閣議決定した教育振興基本計画(23~27年度)で「全ての都道府県・政令市に少なくとも一つの夜間中学が設置されるよう促進する」と明記したことや、「夜間中学の設置数の増加」を指標として設定したことなどに触れ、設置や充実を図るよう改めて求めた。
夜間中学を巡る国の支援策については、▽基礎定数の算定・措置に加え、児童生徒支援加配などの加配定数の活用▽スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)の配置▽ニーズ調査や広報活動の実施に係る支援などの新設準備・運営支援――などと整理。その他、来年度の概算要求で「夜間中学の設置促進・充実」に対し、前年度予算額の8000万円から1億円に増額して要求していることにも触れた。