「こどもの居場所づくりに関する指針」 答申素案を議論

「こどもの居場所づくりに関する指針」 答申素案を議論
「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」の答申素案について議論した
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 「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」の策定に向けて議論している、こども家庭審議会の「こどもの居場所部会」は9月22日、第9回会合を開き、示された答申素案について検討した。答申素案には、前回までの議論を踏まえ、学校が教育の場であるのみならず、みんなが安心して過ごせる場所にする必要があることが明記された。

 答申素案の第1章では、「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」の策定までの経緯や、こどもの居場所づくりが求められる背景、目指したい未来を示した。第2章ではこどもの居場所づくりに関する基本的事項として、▽こどもの居場所とは▽こどもの居場所の特徴▽こどもの居場所づくりとは▽本指針の性質――などがまとめられている。

 第3章はこどもの居場所づくりを進めるにあたっての基本的視点として、▽「ふやす」 多様なこどもの居場所を整備する▽「つなぐ」 こどもが居場所につながる▽「みがく」 こどもにとって、より良い居場所になる▽「ふりかえる」 こどもの居場所づくりを検証する――で構成されている。

 第4章ではこどもの居場所づくりに関係する者の責務や役割が、第五章では国や地方公共団体における推進体制や、施策の実施状況などの検証や評価、指針の見直しが示されている。

 この日は改めて委員から答申素案について意見を聴取した。

 今村久美委員(カタリバ代表理事)は「前回の議論を踏まえ、学校は教育の場であるのみならず、こどもたちに保障していきたい重要な居場所であることが明記されたことは高く評価したい」と述べた。また、ここ10年で全国の市町村で約200校の公立高校が減少し、小中学校も3011校減少しているデータを示し、「学校さえも減っている中、自治体ごとにこどもの居場所を新たに整備することは非常に難しく、現実的ではない」と指摘。「学校が全てのこどもたちにとって居場所だと思える場所に変わっていくこと」が必要だとの考えを示した。加えて、「これは学校の先生の業務を増やすということではなく、行政が教職員以外の人材を配置していく必要がある」と訴えた。

 大空幸星委員(あなたのいばしょ理事長)は、今村委員の学校に関する意見について「おおむね賛成」とした上で、「例えば、スクールカウンセラーなど、学校の中でこどもたちが頼れる人は、莫大な国家予算をかけて増やしてきたことも事実だ。こどもの居場所として、家庭と地域と学校と、新たにネット空間という4つの空間があるが、学校だけに重きを置くのではなく、バランスも考えながら4つ全てを広げていく必要があるのではないか」と考えを示した。

 成田秀幸委員(国立重度知的障害者総合施設のぞみの園診療部長)は「学校の先生たちはかなり多忙だ。学校が全てのこどもの居場所になることには賛成だが、書きぶりに注意しないと、今回の指針で学校の先生が負担感を持ってしまう恐れがある。誤解が生まれないような表記にしなければいけない」と指摘した。

 今後は9月下旬から今回の答申素案について、こどもパブリックコメントと一般向けのパブリックコメントを行う予定としている。

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